先生教えて!私のおしっこの色は異常?尿で健康の全てがわかる

尿は健康状態をあらわす鏡のような存在でもあります。

食べたものや、薬、水分量などで色が変わることがあります。通常、健康なおしっこの色は「淡黄色~淡黄色褐色」と言われ、薄い黄色のおしっこになります。しかし、異常なおしっこの色は「オレンジ・赤・白・緑・青」になり、様々な病気の可能性が潜んでいます。

今回は、泌尿器科院長渋谷が、正常なおしっこと受診したほうが良いおしっこや、おしっこの色が異常な時に病院でどんな検査を受けるのかをご紹介します。

 

正常なおしっこの色は「淡黄色」

尿は身体の状態を色濃く反映してくれます。「いつもより少しおしっこの色がおかしい気がする…」と思った場合、トイレに行くたびに色・匂い・泡立ちを確認しましょう。

特に、健康な人のおしっこは「淡黄色~淡黄色褐色」と言われています。常用している薬によっては色も変わってきますが、淡い黄色であれば一安心でしょう。

 

ちょっと怪しいおしっこの色

病院に行って検査をしたほうがいい方の尿は、「黄~琥珀色、ピンク~茶褐色、茶褐~黒色、白色(乳び尿)、クリーム~淡緑色、青~緑色」です。

様々な色がありますが、基本的に「オレンジ・赤・白・緑・青」の色に近い尿の方は検査を受けましょう

「ちょっと尿の色がおかしいだけで病院に行くのは大げさ…」と思っている方は、まずは3日間尿の色をずっと観察してみて、おしっこのデータを出してみましょう。

自分のおしっこを明確に知るには、「1回量・色・残尿感・切迫感・1日の排尿量」を毎日つける排尿日記を付けるとわかりやすいです。

 

排尿日記テンプレートPDFデータ

 

自分のおしっこと客観的に向き合うことで、正常なのか異常なのかわかってきますよ。

排尿量なんて計るのは面倒、計量カップを使いまわすのは気分的にイヤという方は、計量カップをわざわざ買う必要はありません。ビールやお茶の缶(350ml)、500mlのペットボトルの3分の1をカットして(300〜400ml)使うだけで十分です。

2・3日分付けていただいたものを泌尿器科医が見れば大体の病態が把握できます。3日も異常な色が続いていると自分でも「少しくらい色がおかしくても大丈夫」が「本当に大丈夫かな…」や「やっぱり一時的なものだった!」に変わるなど、変化があるでしょう。

ただ、健康の場合でもおしっこの色は生活で変化します。

自分のおしっこの色を見て不安になってしまった方は、下記のおしっこの色一覧を参考にしてみてください。

 

おしっこの色一覧!健康な尿と異常な尿

おしっこの色

おしっこの特徴

健康でも見られる場合

考えられる病気の可能性

透明

おしっこの回数が多い方に多い

大量に水を飲んで一時的に薄くなった場合

糖尿病、尿崩症

淡黄~淡黄褐色

健康な人の尿の色

 

茶褐色

肝臓で作られるビリルビンが大量に含まれた尿

ビタミン剤内服後

肝炎や胆石症、肝臓の異常

ピンク~赤色

血が混ざっている可能性が高い尿

抗生剤や抗精神病薬の服用後

尿管結石・膀胱炎、腎腫瘍、膀胱腫瘍などでおこる血尿

茶褐~黒色

メラニンが含まれている可能性が高い尿

パーキンソン病の治療薬の服用後

メラニン尿・悪性黒色腫

白色(乳び尿)

高度のたんぱく質が含まれた尿

 

ネフローゼ症候群などの高度の膿尿

クリーム色~淡緑色

細菌感染の可能性が高い

 

盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎

青色~緑色

 

麻酔薬、抗うつ薬、漢方薬服用後

緑膿菌感染

紫色

尿道カテーテルを挿入している方に多い

紫蓄尿バッグ症候群

細菌感染

尿の色の濃さは、水分量で変わってきます。

  • 色が濃い時…朝起きたときや、運動でたくさん汗をかいたなど脱水気味 など
  • 色が薄い時…水をたくさん飲んだ時や、汗をあまり書かない寒い日 など

大人でも水を飲んだり朝起きた時の尿の色にはっきり出るため、体内の水分量が少ない子どもの場合は特に脱水気味かどうかの判断材料になります。

乳幼児の場合はまだ言葉をしゃべれないため、体調不良に気づきにくいです。身体の異常を自分の体調不良を感じにくかったり、言い出せなかったりする小さな子供は、特に尿や便の色から親が子どもの体調も把握できるためしっかり確認しましょう。

尿の色が変化する理由には、必ず原因があります。服用している薬によっても尿に影響はでます。そういった場合は、「きっと薬のせい」と油断せずに、いつもと違う尿が出れば不審に思って、尿の観察を行ってください。

 

尿の色に異常があったらどんな検査をするのか

基本的には尿検査で全てがわかります。

尿の色が変わったからといって特別な検査は必要ありません。しかし、痛みがある、腫れている他の症状があれば検査する可能性があります。

尿の色に関しては、もし変わった様子がありましたら観察をし続けてみてください。色以外にもどれくらいの量が出ているのか、濁っていないか、いつもと同じ色かどうかをみることが大切です。

意外となんでもない人の方が多いです。

 

まとめ

今回は、おしっこの色について紹介していきました。

食べ物、服用している薬、水分量などで色は変化しやすいので、ちょっと異変があるからといって騒がずに様子をみながら観察していきましょう。

色の変化に合わせて、他にも気になる症状がある方はかかりつけ医に相談ください。

 

神楽岡泌尿器科をみてみる

 

監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール

1961年(昭和36年)

旭川生まれ

1980年(昭和55年)

道立旭川東高等学校 卒業

1988年(昭和63年)

札幌医科大学 卒業

手術件数・診療実績

神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。

当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。

私は泌尿器科院長をしており、腸活によって得られる便秘解消作用と健康には深いつながりがあると考えています。

腸活と健康との関わりについての考えを『泌尿器科院長がなぜ「腸活」にこだわるのか?便と尿は健康に密接に関係している』でまとめているため、知りたい方はぜひご覧ください。

出版年数

著書・メディア掲載

2014年 5月15日

「気持ちいいオシッコ」のすすめ

2016年 5月10日

2016最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医9人

2016年 10/27号

週刊新潮