ADLレベルに応じた排泄関連用具の選び方(1)

排泄動作は、尿意を感じてベッドから起き上がりトイレまで移動して衣服を脱ぐ、座って排泄し後始末して、居室まで戻る、など一連のADL動作で成り立っています。しかし、尿意があってもADL動作ができないために失禁のADLレベルに役立つ排泄用具や周辺用具を一覧にまとめ、自立レベルを高めるためのポイントについて3回に分けて解説します。

さぁ、できる動作を活かして排泄の自立度をステップアツプしましょう。

自立レベルを高めるためのポイント(寝たきり編)

1.「オシッコ」のサインを見逃さないで

おむつをあてている高齢者は、尿意や便意がないと誤解されがちですが、本当はおむつでの排泄が習慣化して尿意が鈍くなっていることも多いのです。
目の動きや表情、しぐさをよく観察していると「オシッコ」のサインに気付くことがあります。タイミングよく尿器や便器、ポータブルトイレなどでの排泄法を試してみましょう。朝起きた時や食後など時間を決めて練習すると成功率が高くなります。

2.寝た姿勢より、できるだけ座って排泄を

20160426_1ひとりで起きられない人は、電動ベッド等で背中を起こして尿器や便器で、座れる人は、ポータブルトイレに座って排泄しましょう。
寝ていると膀胱内に尿が残り、便も出にくい状態が起こりますが、座位をとると、腹圧をかけやすく重力を利用して自然に排尿排便ができます。また、排泄後の処理も手が届くので自分で行うことが容易です。
さらに、立つことのできる男性は、座位より立位の方がスッキリ排尿できます。

3.便通を整えることが大切です

便秘をすると腸内にたまった便のために膀胱が圧迫されて尿もれの原因になります。また、便秘が原因で気分が悪くなったり、服薬コントロールが上手くいかず軟便、水様便などの便失禁が生じることもあります。
毎日の積極的な水分補給や食物繊維の摂取によって定期的な排便を促すとともに、便秘が改善しない場合は、浣腸や摘便、洗腸などで直腸内を空にすることが大切です。

4.排泄方法は、時間帯や介護力で使い分けて

排泄は、ひとつのパターンに限定せず、高齢者の移動能力や生活習慣、ご家族の介護力などによって、いろいろな方法や用具を使い分けるとよいでしょう。
例えば、昼間やトイレで排泄し、夜間は尿器やポータブルトイレで排尿する、あるいは座って過ごすときは、尿量に合わせた活動的なパンツタイプにし、夜間は、吸収量の多いテープタイプとコンパクトタイプを重ねて・・・というように生活スタイルや尿量、介護力によって使い分けてワンパターンにならないように注意しましょう。

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