内分泌療法の効果と使われる薬について

前立腺がんの内分泌療法について、これから7回にわたってご紹介していきます。
今回は、「内分泌療法の効果と使われる薬」をご紹介いたします。

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Q内分泌療法は、どのような病期(ステージ)や年齢の人に対して効果が期待てきるのですか?

A幅広い病期のがんに、また全ての年齢の人に効果ができます

前立腺がんは、局所での進行状態や転移の程度によってさまざまな病期(ステージ)に分類されますが、前立腺がんの特製を利用した内分泌療法は早期のがんから転移・進行がんまで幅広い病期のがんに、また全ての年齢の人に効果ができます。

前立腺がん細胞は、前立腺内でも転移部でも、アンドロゲンに反応するという前立腺がんの特性を有しています。また、高齢者でもアンドロゲンの分泌は保たれていますので、部位、年齢にかかわらず、アンドロゲン除去の効果が期待できます。

化学療法は抗がん剤の殺細胞効果によりがん細胞のみならず全身に影響を及ぼしますが、内分泌療法はアンドロゲンに依存する細胞にのみ作用し、その増殖を抑え自然消滅の形をとる穏やかな治療で、全身への影響が比較的軽いという特徴があります。高齢の方にも安心して受けていただける治療をいえるでしょう。

Q内分泌療法で使われる薬は?

A2種類の薬を単独または併用して使用します。

前立腺がん内分泌療法では、LH-RHアゴニスト製剤(性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬)というテストステロンの分泌を抑制する薬と、抗アンドロゲン剤というアンドロゲンのはたらきを阻害する薬の2種類があり、単独あるいは併用して使用されることが一般的です。

前立腺がん 使用される薬

内分泌療法で使われる薬

種類作用のしくみ
LH-RH アゴニスト製剤
(注射薬)
下垂体に作用して性腺刺激ホルモンの分泌を妨げて、精巣からのテストステロンの分泌を抑制します。
抗アンドロゲン剤男性ホルモンと結びつく受容体を遮断して、男性ホルモンのはたらきを抑制します。