前立腺肥大症の治療法を3種類解説します【神楽岡泌尿器科】

60歳を過ぎると多くの男性は尿の勢いが衰え、夜中に何度もおしっこに起きるようになります。

これは膀胱(ぼうこう)の下にある前立腺が大きくなり、膀胱を刺激したり尿道をふさいだりする前立腺肥大症が原因かもしれません。60歳代で6%、70歳代では12%の方にみられるようになり、日本では133万人の方が治療を受けているといわれています。

そんな前立腺肥大症は、「尿が出にくい」「尿がためられない」「残尿感がある」などの症状をもち、悪化すると「閉尿」など尿路全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

当院でも受診やご相談を数多く受けてきました。やはり、皆さん気にされるのは「どんな治療法なのか、また副作用はあるのか」ということ。ペニスに大きく関わっているので色々と考えてしまうものです。

そこで今回は、前立腺肥大症の治療法を3種類、簡単にご紹介します。正しい知識を身につけて、安心して治療に望んでくださいね。

 

αブロッカー

この薬は、前立腺と尿道の筋肉の緊張を緩めることで、尿を出しやすくする薬です。

メカニズムとしては、交感神経の受容体である「α1受容体」を遮断し、交感神経刺激が末梢血管に届くことを抑制します。そうすることによって、ピンッと張っている尿道の筋肉を緩めることができるようになります。

日本では数種類のαブロッカーが使用されていますが、少なからず副作用があります。例えば、飲み始めのころに立ちくらみなどが現れたり、なかには射精障害をおこしやすいモノも。

比較的若い方には射精障害の少ない薬剤の選択がおこなわれます。

抗男性ホルモン剤

これは、前立腺肥大症の発症に関わっている「男性ホルモン」の作用を抑えて、前立腺を小さくするお薬です。副作用としては少なめですが、吐き気や食欲低下、性欲低下などがみられることもあります。

これは従来のホルモン剤に比較して効果が確実。しかも安全性の高い薬で、勃起障害などの副作用も少ないとされています。

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→前立腺肥大症の治療で使われる薬とその効果について解説

内視鏡手術

尿道から直径8ミリ程度の内視鏡を挿入して前立腺を削る、内視鏡手術も大きく進歩してきました。

従来は、ループ状の電気メスで前立腺をまるで露天掘りのように舟形に削りとるTUR-Pという内視鏡手術が盛んにおこなわれていました。

後にマイクロ波、ラジオ波などが次々と登場。身体への負担が少ないということで、広く取り入れられるようになりました。

最近では、レーザーや高周波電流を利用した内視鏡手術で前立腺を丸ごとくり抜く方法も。術中の出血や術後の膀胱刺激はさらに少ないとされています。

 

まとめ

今回は、前立腺の治療法を3つほどご紹介しました。ポイントをまとめると次のようになります。

 

この記事のまとめ

  • 「αブロッカー」は前立腺と尿道の筋肉の緊張を緩め、尿を出しやすくする
  • 「抗男性ホルモン剤」は前立腺の肥大を抑える
  • 内視鏡手術はさまざまな新しい方法が登場、身体への負担が小さくなっている
  • 我慢せずに医者に相談してみよう

排尿困難を老化現象とがまんせず、たくさんある前立腺肥大症の治療法のなかから自分に適したものを見つけましょう。

小便小僧のような大きな弧を描くおしっこを取り戻すためにも、一度医者に相談されてみてください。

ちなみに、日々の生活ではアルコール摂取により尿閉がおこることがあるので、過度の飲酒は避けたほうがよいと思われます。

またがんこな便秘、感冒薬の服用、長時間の座位、下半身の冷えなどにより排尿障害が悪化することがありますのでご注意ください。

前立腺肥大症や治療方法について詳しく知りたい方は、お気軽に当院までお問合せください。

 

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