男子の過活動膀胱の症状・原因・治療を泌尿器科が伝えます

 

今回は、臨床でも多い「過活動膀胱」のお話です。

過活動膀胱とは、頻尿や急な尿意を強く感じてしまう症状のことで、生活に支障がでやすい困りごとでもあります。

今回は過活動膀胱の仕組みや原因、訓練方法など泌尿器科のスタッフが紹介するので、深く知りたい、どうにかしたいという方は治療の第一歩として参考にしてみてください。

過活動膀胱の4つの症状

過活動膀胱には4つの症状があるのでご紹介します。

過活動膀胱の4つの症状

昼間頻尿

日中だけでもトイレに8回/日以上トイレに行ってしまう症状です。

夜間頻尿

夜中におしっこのために1回以上起きてしまう症状のことです。

尿意切迫感

急に我慢するのも難しいほどの尿意を感じる症状です。

切迫性尿失禁

突然の我慢できない強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずに尿がもれてしまう症状のことです。

週に1回以上尿意切迫感があると過活動膀胱と診断される場合もあるほど、過活動膀胱になると急に強い尿意を感じるようになります。

過活動膀胱になると、強い尿意を感じるようになるため、尿の回数が日中・夜間ともに増えてしまうことが多いです。しかし、症状には個人差があるため、必ずしもすべての症状が出るわけではありません。

特に、過活動膀胱になっても、切迫性尿失禁のような我慢できずに尿をもらすまでは至らないケースもあります。

 

過活動膀胱の仕組み

過活動膀胱になると、急な尿意におそわれることが多いです。どうして急に強い尿意を感じるようになるのでしょうか?

通常、膀胱は500ml程度の容量があるため、約300ml尿が溜まると尿意を感じやすいです。

しかし、過活動膀胱になると、尿があまり溜まっていないにも関わらず、膀胱が勝手に縮んだり過敏な動きをし、急に我慢できない尿意が起こってしまうため、日中のトイレ回数の増加や夜間トイレで起きるようになります。

また、膀胱が縮んだり過敏な動きをしたりしていない場合でも、脳が「おしっこに行きたいな」と敏感に反応してしまう場合、急な尿意を感じる場合もあります。

過活動膀胱になる原因

過活動膀胱になる原因として、理由がわかっていないものもありますが、一般的に太っている方や糖尿病の方は過活動膀胱になりやすいといわれています。

他にも、脳や脊髄の病気の方は「おしっこに行きたい」と強く感じてしまいがちになるため、過活動膀胱になる方も多くいらっしゃいます。

また、前立腺肥大では、尿が出にくい状態が続くため膀胱が過敏に働くようになり、過活動膀胱につながりやすいです。

過活動膀胱になる主な原因
  • 太っている方
  • 糖尿病の方
  • 脳や脊髄の病気である認知症、脳卒中、パーキンソン病、多発性硬化症、アルツハイマー病などの方
  • 前立腺肥大症の方

 

20代、30代の若者に増え続ける過活動膀胱の原因

現在、20代・30代の過活動膀胱が増えています。

その理由として、トイレを我慢しすぎたり、尿意がないにもかかわらずトイレに行ったりする習慣がついてしまっているためだと考えます。

現代では、「おしっこを漏らすことは恥ずかしい」という意識がとても強いです。例えば、映画館に入る前や大切な会議の前はトイレに行くようにし、学校では授業中に尿意が出ても我慢し続けてしまうでしょう。

尿意を無視して活動することで、おしっこを溜められない膀胱になってしまい、過活動膀胱になっている方が多くなっているのかもしれません。

 

過活動膀胱の治療・訓練の仕方

過活動膀胱の治療は、大きく3種類あります。

  • 薬物療法
  • 生活習慣の改善
  • 膀胱訓練

薬物療法は、膀胱に多くの尿を溜められるように、お薬を使用する治療を行います。しかし、薬だけでは一時的に治ってもまた過活動膀胱になってしまう可能性もあるため、生活習慣の改善や膀胱訓練が必要になるでしょう。

生活習慣の改善・膀胱訓練(膀胱容量を増加させるための訓練)を行うことで、症状の軽減・改善につながります。

 

改善すべき生活習慣

生活習慣で改善すべきことは、コーヒーや紅茶などカフェインを摂りすぎないことです。

カフェインは尿量を増やすことで尿意を強めてしまうため、過活動膀胱を促進させてしまう可能性があります。摂りすぎないようにしましょう。

 

膀胱訓練の仕方

膀胱訓練とは、尿意が生じても我慢することで、排尿間隔を延ばす訓練です。

まずは、尿意を感じてから5分我慢しましょう。無理のない範囲で行ってください。

最初は徐々に時間を延ばせるといいですが、最終目標は1回ごとの排尿間隔を2~3時間にすることです。

 

過活動膀胱が良くなっているのか確認する方法

過活動膀胱になると、日中8回/日以上、夜間1回以上おしっこで起きるなど頻尿の症状が出るようになります。

過活動膀胱の治療として膀胱訓練を行っても、症状がどれだけ良くなっていくのかがわからなければ続かないものです。

過活動膀胱の症状である頻尿が改善しているか、自身でセルフチェックを行いながら訓練で治療ができているかを、排尿日記を付けて確認してみましょう。

排尿日記を付けるために必要なものは、排尿日記のテンプレート・計量カップ(缶やペットボトルでも可)・筆記用具だけです。

排尿日記のテンプレートはPDFデータで用意しているため、印刷して使えます。

排尿日記テンプレートPDFデータ

排尿日記のつけ方に関しては、「悩んでいる方は頻尿をセルフチェックしてみよう!手順や方法を医師が教えます」を参考にしてください。

まとめ

過活動膀胱について、症状・原因・治療方法をご紹介しました。トイレの悩みは本当に根深いですし、生活にも支障がでることがあります。

自分の身体がちょっとおかしいなと感じたら、まずは、泌尿器科への受診を検討してみてください。

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監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール

1961年(昭和36年)

旭川生まれ

1980年(昭和55年)

道立旭川東高等学校 卒業

1988年(昭和63年)

札幌医科大学 卒業

手術件数・診療実績

神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。

当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。

出版年数

著書・メディア掲載

2014年 5月15日

「気持ちいいオシッコ」のすすめ

2016年 5月10日

2016最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医9人

2016年 10/27号

週刊新潮