尿路結石とは?基本から再発予防まで痛くなる前に知っておくべきこと

尿路結石と聞くと、激しい痛みが伴うつらい疾病のイメージがありませんか?

実は、結石は大きさや身体のどこにできるかによって、症状・検査・治療方法がかなり違ういがあります。

意外と知られていない尿路結石のことを神楽岡泌尿器科が基本から再発予防まで解説します。

また、尿路結石に1度なってしまった方も、再発リスクの可能性が高いことはかかりつけ医から口を酸っぱくして言われていると思いますが、改めて予防・再発予防策もご紹介しますね。

 

【基本】尿路結石とは?

尿路結石とは、尿路に結石が出来る疾病のことです。

用語解説

尿路・・・尿が生成されてから排尿されるまでに通る道のこと。一般的に尿路は「腎臓→尿管→膀胱→尿道」を指します。
結石・・・シュウ酸、リン酸、カルシウム、尿酸などのミネラル・有機物を含んだ石のこと。

症状は結石ができる場所により場所は異なりますが、結石が尿路で詰まることで激しい痛みが生じます。

一度尿路結石になった方は、二度と再発しないように心がけるほどの激痛と言われています。

尿路結石は再発することが多い病気のため、予防・再発予防がカギとなる疾病です。

 

尿路結石の原因

尿路結石になる主な原因は、尿が濃縮されることで結石ができることですが、複数の要因が絡み、発症に至るケースが多いです。

例えば、尿の流れが悪かったり、尿路が細菌感染していたり、代謝に異常があったり、食生活が偏っていたりと、様々な要因が考えられます。

この場合、腎臓や尿管の生まれ持った異常や、他の疾病による合併症の場合も多いです。

具体的な尿の流れが悪くなる例として、前立腺肥大症・がん・寝たきりなど、「おしっこが出にくい」状況になること。

また、代謝に異常が出る原因の一例としては、代謝に必要なホルモンを出す甲状腺・副甲状腺の疾病や高尿酸血症など。

代謝に異常が出ると、結石の素材であるカルシウムやシュウ酸が尿中に多くなるため、尿路結石になりやすくなります。

渋谷先生
渋谷先生
尿路結石になる原因は様々ですが、尿酸高値や脂質異常、メタボリックシンドローム、水分摂取量など、後天的な生活習慣が原因となる場合も多いです。

 

尿路結石の症状

尿路結石の症状は結石ができる場所によって異なります。

場所

名称

症状や特徴

腎臓

腎結石

  • 腹部や側腹部の疼痛
  • 血尿
  • 無症状のこともある

腎臓から膀胱まで

尿管結石

  • 背中からわき腹にかけて刺すような激痛。
    (夜間や早朝に起きることが多く、3~4
    時間は続く)
  • 吐き気、嘔吐、冷や汗
  • 血尿

膀胱

膀胱結石

  • 排尿時痛、頻尿、残尿感
  • 排尿困難
  • 血尿

膀胱から排尿まで

尿道結石

  • 排尿時通
  • 排尿困難〜尿閉

どこに結石ができても痛みを感じるケースが多いですが、最も激しい痛みを感じるのは尿管結石です。

尿管に挟まった結石が尿の流れをせき止めて、腎盂尿管内の圧力が上昇することで引き起こされ、図の青い部分(側腹部から下腹部)に刺すような痛みが生じます。

結石の大きさや結石ができる場所ごとの症状については、「尿路結石の痛みは場所で変わる!治療法も解説【神楽岡泌尿器科】」を参考にしてください。

 

尿路結石の検査・診断

尿路結石は、検査をしなくても症状・痛みの場所による問診や触診・打診で診断可能な場合も多いです。

しかし、結石の大きさや成分、結石の存在する場所によって、適した検査方法があるため、尿路結石かもしれないと思われた方はどのような検査を受ける可能性があるのかを確認しておきましょう。

  • 尿検査・・・尿の成分を調べる検査。血尿の有無や膀胱結石に多い膿尿や細菌尿ではないか確認する。
  • 血液検査・・・採血し、尿路結石が起きやすい状態か確認する検査。尿路結石の場合、腎機能の低下や炎症反応が見られるため、腎機能・尿酸・カルシウム・リン・炎症反応などの数値を確認する。
  • 超音波検査・・・結石により拡張した部分や結石の有無を確認する検査。
  • 排泄性腎盂尿管撮影・・・2mm以下の結石や結石が尿の流れに以上がないか確認する検査。
  • CT・・・2mm以下の結石や、結石による腎臓の形に影響がないか確認する検査。
  • 結石分析・・・結石の成分を調べ、治療方法を選択する際の参考にする検査。

 

尿路結石の治療

尿路結石の治療方法は「保存療法」・「手術療法(体外衝撃波砕石術・経尿道的結石砕石術・経皮的腎・尿管砕石術)」の2つあります。

  1. 保存療法・・・8mm以下の結石の場合に行われることが多く、排石を促す薬物治療と積極的な水分摂取で、結石の自然排出を促す治療方法。
  2. 手術療法・・・入院が必要となる療法で、結石を砕いたり、内視鏡手術により結石を取り除いたりする。「体外衝撃波砕石術」「経尿道的結石砕石術」「経皮的腎・尿管砕石術」の3つがある。
    • 体外衝撃波砕石術(ESWL)・・・体の外から衝撃波を当て結石を砕き、尿と一緒に排石させる。排石までには時間がかかるが、外来治療も可能で、入院の場合でも1〜2日程度。
    • 経尿道的結石砕石術(TUL)・・・尿道から細い内視鏡を入れ、結石をレーザーや空気衝撃波などで砕石し取り出す。入院期間は数日〜1週間程度、治療効果の高い手術として近年増加傾向にある。
    • 経皮的腎・尿管砕石術(PNL)・・・比較的大きな腎結石に対して行われる場合が多い。背中に小さな穴を開け、そこから内視鏡を入れ、結石を砕石し取り出す。腎臓に穴を開けるので出血のリスクがあり、入院期間は、1〜2週間程度。

尿路結石は1度治っても再発のリスクが高い疾病です。特に尿路結石になりやすい方の特徴などは、「尿路結石症はかかりやすくて再発しやすい!30代以降の男性が必見の予防策を紹介します」を参考にしてください。

 

尿路結石の3つの予防策!「おしっこの仕方」がカギ

尿路結石症は再発しやすい疾病ですが、定期的な検診・水分補給・バランスのいい規則正しい食事を行うことで予防・再発予防になります。

 

尿路結石の予防① 定期的な受診・検診に行く

1度尿路結石になった方は、結石ができやすい体質・生活習慣の可能性が高いです。

症状があまり出ていない初期段階で結石を発見すると、症状がかるいうちに身体に負担の少ない治療から行えます。

尿路結石特有の激しい痛みが起こる前に治療が受けられるかもしれません。症状が重くなるまえの定期的な受診・検診で、激しい痛みの予防・再発予防につなげられます。

 

尿路結石の予防②1日に必要量な水分摂取を積極的に行う

尿路結石は、夏と冬がなりやすいと言われています。

その理由は、気温や暖房の影響で体内の水分量が減少し、乾燥・脱水の状態になることで、尿がより濃縮し、結石が出行きやすくなってしまうためです。

また、もし結石ができてしまっても健康の範囲内で尿量を増やせば石が小さいうちから体外に出せるため、激しい痛みが起こらないようにする効果も期待できます。

目標の水分摂取量は1日に2リットルです。

夜に飲むと夜間頻尿の恐れがあるため、朝から1時間に200ccずつが理想。しかし、トイレ回数が増えて頻尿になっても意味がないため、300ml程度しっかりと膀胱におしっこを我慢して溜めてから、トイレに行きましょう。

1日に2リットルもの水分摂取は慣れるまでが大変です。継続方法を詳しく知りたい方は「再発を防ぐ?尿路結石を予防する「おしっこの仕方」を医師が紹介!」も参考にして下さい。

渋谷先生
渋谷先生
水分摂取が大事とわかり「もっとたくさん飲めば治るかもしれない」と1日に2リットル以上飲む方いますが、これは逆効果なので注意してください。水中毒という体内の電解質のバランスがとりにくくなります。
反対に、水分をこまめにとることを説明しても、当たり前のことができずに再発してしまうケースもあるので、意識してかわることを心がけて欲しいですね。

 

尿路結石の予防③バランスのいい規則正しい食事をとる

尿路結石は、尿の中の物質であるシュウ酸・リン酸・カルシウム・尿酸などが結晶になったものです。

特に結石になりやすいのは、シュウ酸カルシウムです。シュウ酸とカルシウムは便として排泄されますが、腸の中にカルシウムが少ないと腎臓内に結石が出来やすくなります。

もちろん、カルシウムだけとっていてもバランスの良い食事にはなりませんが、特に心がけるといいでしょう。

カルシウム摂取量の目安

尿路結石を防止するために、尿路結石予防に積極的に取り入れたい食材・尿路結石予防に控えたい食材などは、「医師が教える「尿路結石を予防する食事」」に、レシピ付きでご紹介しています。参考にしてみてください。

 

まとめ

尿路結石になる原因・症状・検査や診断・治療・予防策について解説しました。

尿路結石は1度発症してしまうと、再発のリスクが高いため、予防・再発防止がカギとなる疾病です。

積極的ンは水分摂取やバランスのよい食事などは、生活習慣を変えることにつながるため、改善に至るケースが少ないです。尿路結石の予防・再発予防ができているか自信がない方は定期的な受診・検診も行ってみてはいかがでしょう。

とはいっても、症状がなければ病院には行きづらいですよね。もし症状があっても「耐えられる症状だから」と、長い間悩み・不安を抱え続けている方もいらっしゃると思います。

当院では、無料のメール相談を随時受け付け中です。勿論、相談したからといって必ず当院に受診に来る必要もありません。気軽に、オシッコの不安をご相談いただければと思います。

院長直通無料メール相談をしてみる

また、当院の院長はオシッコスペシャリストとして、人に聞けないおしっこの悩みの解消方法や子供の排尿教育についての参考になる、オシッコの本を出しています。

著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。

気持ちいいオシッコのすすめ』 
著者:渋谷秋彦