知っておきたいオシッコの話<高齢者の自立支援>

以前、高齢者のADL(日常生活活動)の低下についてご紹介しましたが、私たちが、高齢者の自立に向けて支援しようとする時、排尿障害だけをみるのではなく、生活全体を見直しながら総合的な視点でかかわっていくことが大切です。生活を見直す際のポイントについてまとめました。

その人の望む生活に近づけましょう

「おもらし」があっても、外に出かけたいと望むか、寝たきりでも仕方ないとあきらめるかによって、選ぶ排泄用具や環境の整備法も変わってきます。

おむつをあてて寝たきりの生活をしたいと望む人はいないはずです。

最後まで人としての尊厳を保てるよう、あたたかい支援を心がけましょう。

どこに問題があるのかを見極めましょう

排泄行為は、トイレまでの移動や衣服の着脱、後始末などの一連の動作で成り立っており、「おもらし」の原因はさまざまです。

例えば、足腰の力が弱ってトイレまで行けない、衣服の着脱に手間取る、おしりが拭けないなどの日常動作の問題が原因となることもあります。

また、認知症のためのトイレの場所がわからない、介護者ひとりでは抱えてトイレに連れて行けない、和式便器ではしゃがめないなど、介護力の問題や生活環境の不備も考えられます。

どこに問題があるのか、その原因は何かを見極めましょう。

介護者の心身の負担を軽減しましょう

排泄の介護は、生理的な現象に基づくものです。その都度人手が必要であり、後始末や臭気の問題なども加わって介護者の心理的、身体的なストレスが高まる要因となります。

介護者の負担を少しでも軽くするためには、排泄用具や生活環境を整えることが大切です。それは高齢者の気兼ねや遠慮をなくし、自立意欲を高めることにもつながります。

失敗を恐れず試してみましょう

自立に向けて新たな排泄方法を試してみる場合、失敗はつきものです。「そそうしたら恥ずかしい」とか「迷惑をかけてしまう」といった高齢者の気持ちを考慮して、汚れてもいいように環境を整え、明るく根気よく取り組むことが大切です。

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