これまで、「トイレが近い」などの症状を引き起こす過活動膀胱という病気についてご紹介してきました。どのような症状があるのか、原因は何なのか、病院ではどのような検査・治療をするのかなどを6回に分けて詳しく見てきました。下記はその一覧です。
- 1. トイレが近い原因は過活動膀胱の可能性があります
- 2. トイレが近い原因となる「過活動膀胱」の症状
- 3. 10人に1人が「トイレが近い」症状を経験しています
- 4. 過活動膀胱は膀胱の異常な働きによって起こる病気です
- 5. 泌尿器科では病状を知るために問診・検査が行われます
- 6. 過活動膀胱に対する主な治療法
前回は過活動膀胱のおもな治療方法についてご紹介しましたが、それはいずれも病院に来ていただくことですることのできるものでした。そこで今回は、普段の生活の中でできる過活動膀胱の治療方法についてご紹介したいと思います。
普段の生活の中でできる過活動膀胱の治療
1. 膀胱訓練―トイレをがまんする訓練
膀胱訓練とは、トイレに行きたくなってもがまんする訓練です。膀胱にためることのできるおしっこの量を増やすことができます。
がまんする時間は5分くらいから始めて、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
2. 骨盤低筋訓練(骨盤低筋体操)―尿道を締める力を鍛える体操
普段の生活の中でできる治療の2つめは、骨盤低筋訓練です。これは尿道を締める力を鍛えるための体操です。基本の方法を覚えて、生活の中でこまめに行っていきましょう。
基本の方法
(1)あお向けに横になり、両足を肩幅程度に開いて、両ひざを軽く立てましょう。
(2)尿道・肛門・膣をきゅっと締めたり、緩めたりし、これを2~3回繰り返します。
(3)次は、ゆっくりぎゅうっと締め、3秒間ほど静止します。その後、ゆっくり緩めます。これを2~3回繰り返します。締める時間を少しずつ延ばしていきます。
この手順を1回5分程度から始めて、10~20分までだんだん増やしていきましょう。
生活の中で
(1)ひじ・ひざをついた姿勢で(朝・晩、布団の中)
床にひざをつき、ひじをクッションの上にのせ頭を支えて行います。
(2)テーブルを支えにした姿勢で(家事、仕事の合間に)
足を肩幅に開いて立ち、手は机の上に乗せて行います。
(3)椅子に座った姿勢で(テレビを見ながら)
足を肩幅に開いて椅子に座り、足の裏の全面を床につけて行います。
薬による治療と一緒に行うことが大切です
さて、自宅で簡単にできる過活動膀胱の治療方法についてご紹介してきました。どれも普段の生活ですぐにできるものばかりですが、過活動膀胱を治すためにはやはり薬による治療は欠かせません。
もしあなたが日常生活に支障をきたすほどの症状でお悩みの場合、泌尿器科を受診してしかるべき薬を服用していただくことをおすすめいたします。
薬を服用した上で今回ご紹介した治療法を実践すれば、より大きな効果が期待できます。
当院ではどのような治療を行えばよいかなど、過活動膀胱の症状でお悩みの方々の相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。