前立腺肥大で便が細くなる?原因と隠れた病気について紹介

「最近、便が細くなった気がする…」「もしかして、前立腺肥大のせい?」

前立腺肥大症と便のトラブルには、解剖、機能的に密接な関係があります。

この記事では、前立腺肥大症が排便に与える影響や、便が細くなる場合に注意すべき重大な病気、そして日々の生活でできる改善策まで、泌尿器科の専門家が詳しく解説します。

前立腺肥大と便の関係

前立腺は膀胱の下、直腸の前に位置する臓器です。

前立腺肥大症によって前立腺が大きくなると、排尿異常に合わせて肛門括約筋のリラックスが不十分になります。この肛門括約筋の協調不全が、以下のような便の異常を引き起こすメカニズムとなります。

便通の妨げ肥大した前立腺が直腸を圧迫することで、便の通り道が狭くなり、便秘や便が細くなる症状が現れる可能性がありますが、排尿排便時に不自然な「いきみ」が続くことで、肛門括約筋のリラックスができなくなり、細い便となり、結果的に便秘が悪化することもあります。
治療薬の副作用前立腺肥大症の治療に用いられる一部の薬剤(抗コリン薬など)には、便秘を引き起こす副作用を持つものがあります。

また、便秘が続くと、逆に前立腺肥大症の症状を悪化させることもあります。腸内の圧力が高まることで前立腺が刺激され、頻尿や残尿感といった排尿症状が現れることがあります。

前立腺肥大による便の異常と注意点

前立腺肥大症と便秘が同時に起きている場合、まずは原因を正確に特定することが重要です。

便が細くなる・残便感がある場合

直腸や肛門の腫瘍で便が細くなる可能性はあります。しかし、便が細い状態が続く場合や、残便感が常に伴う場合は、前立腺肥大以外の病気の可能性も視野に入れる必要があります。

排尿障害と併発しているときは要注意

排尿トラブル(頻尿、残尿感など)と便通トラブル(便秘、便が細い)が同時に起きている場合は、まず泌尿器科への受診をおすすめします。専門医が症状を総合的に診断し、原因が前立腺肥大症にあるのか、別の病気によるものかを判断します。

便が細くなるのは前立腺肥大以外に他に病気のサイン?

便が細い、または残便感があるという症状は、前立腺肥大症によるものだけではありません。特に以下の場合は、消化器系のより深刻な疾患のサインである可能性が高いため、注意が必要です。

大腸がんなど消化器系疾患の可能性

便が細くなる最も注意すべき原因は、腸管が何らかの理由で狭くなっていることです。

大腸がん・大腸ポリープ腸内にできた腫瘍やポリープが、便の通り道を狭くします。
炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎など、腸の内壁に炎症が起きる病気です。

特に血便体重減少腹痛を伴う場合は、前立腺とは無関係に大腸がんなどが疑われます。

一時的な生活習慣の影響もある

便秘食事量が少ない、水分が不足している、便意を我慢するといった習慣も、便が硬く細くなる原因となります。
過敏性腸症候群(IBS)ストレスなどで腸の機能が異常をきたし、便秘と下痢を繰り返したり、便が細くなったりすることがあります。

便が細くなったときの対処法

便が細い原因が前立腺肥大症や生活習慣にある場合、日々の取り組みで改善が期待できます。泌尿器科医は、前立腺肥大症に伴う便秘の改善には「腸活」が効果的であると指導しています。

食物繊維と水分補給で便通改善

食物繊維便の材料となる食物繊維(海藻や根菜)をバランスよく摂りましょう。
水分補給便を柔らかくするために、1日2リットルを目安にこまめに水を飲む習慣をつけます。特に朝起きてすぐコップ1杯の水を飲むことは、腸を刺激し、排便を促します。
発酵食品納豆やヨーグルト、味噌などの発酵食品を摂取し、腸内環境を整えましょう。

適度な運動(ウォーキング・体幹トレーニング)

ウォーキング腸のぜん動運動を促します。1日30分のウォーキングを習慣にすると良いでしょう。
骨盤底筋トレーニング排便を促す腹圧を腸に伝える骨盤底筋を鍛えることで、便秘が改善したという報告もあります。

排尿・排便リズムを整える

我慢しない便意を感じたら我慢せずにトイレに行きましょう。
規則正しい習慣朝食後のトイレなど便意が起こった時に、いきまずに排便するリズムを作りましょう。気持ちいいおしっこの習慣も大事です。

受診の目安

便が細い状態が続く場合は、自己判断で済まさず、早めに医療機関を受診しましょう。特に40歳以上の方は、大腸がんのリスクが高まるため、症状がない場合でも年に一度の大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。

まとめ

前立腺肥大症と便の異常は互いに影響し合う関係にあります。

  • 前立腺が肥大すると、後ろにある直腸を圧迫し、便秘や便が細くなる原因となります。
  • 便が細い状態が続く場合は、大腸がん大腸ポリープなど、より深刻な病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
  • 血便や体重減少を伴う場合は、特に速やかに医療機関を受診しましょう。

前立腺肥大症の症状と便秘が同時に現れている場合は、まず泌尿器科にご相談ください。当院では、患者さんの症状を総合的に診断し、適切な治療と生活改善のアドバイスを提供しています。

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