
医師から「ステージ」という言葉を聞くと、これからの生活がどうなるのか不安になり、頭が真っ白になってしまう方も多いのではないでしょうか。
とくに膀胱癌と診断された場合、「自分の膀胱を残せるのか」「この先どのくらいまで生きられるのか」という悩みを抱えてしまう方も少なくありません。
膀胱癌は早期発見できれば内視鏡手術で取り除ける場合がありますが、ステージが進行していると癌との戦いが長く続きます。
今回は、膀胱を残せる基準や生存率など、膀胱癌に関するステージについて解説します。
今後の見通しを立てて、少しでも穏やかな気持ちに向き合うための参考にしてみてください。
膀胱癌のステージ(病期)はどう決まる?
まずは膀胱癌のステージについて簡単に解説します。
ステージの判定基準や重要ポイントを紹介しているので、膀胱癌の進行が気になっている方は、確認してみてください。
TNM分類とは?ステージ判定の基準を簡単に解説
膀胱癌の状態を正確に把握するために、世界共通の「TNM分類」という基準を用います。
この基準は「癌の深さ(T)」「リンパ節への広がり(N)」「別の臓器への転移(M)」の3つの要素を組み合わせたものです。
TNMをそれぞれ分析し、組み合わせて進行度の「ステージ」が決まります。
最重要ポイントは「筋層」に届いているかどうか
癌がどの深さにまで達しているかは、今後の生活を考えるうえで大きな目安です。
膀胱の壁には、いくつかの薄い膜が重なってできており、その中にある筋層(きんそう)という筋肉の層にまで癌が届いているかが運命の分かれ道です。
表面の粘膜にとどまっている間は、膀胱を切り取らずに残せる可能性がありますが反対に、筋層にまで癌が深く入り込んでいると、リンパ液や血液の流れに乗って全身に広がりやすくなるため、より踏み込んだ治療が必要です。
自分の病状が浅いのか、深いのかを明確にすることは、後悔のない選択をするために重要なポイントになります。
関連記事:血尿の放置厳禁!膀胱癌の初期症状を見極めるための徹底ガイド
ステージ別の治療法と生存率の目安

ステージ0〜I
癌が表面の粘膜にとどまっている初期の段階であれば、おなかを切らずに治療を進める道が開けます。
ステージ0から1のタイミングで早期発見ができると、尿道から細い内視鏡を入れて腫瘍を削り取る「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」という治療が一般的です。
膀胱をそのまま残せるため、手術後もそれまでと同じような排尿のリズムを保てるのが大きな魅力です。
ステージII〜III
癌が筋肉の層まで入り込んでいる場合は、病気を根本から取り除くために、膀胱をすべて摘出する手術が検討されます。
手術の前に抗がん剤を使い、目に見えない転移を抑える処置を組み合わせる流れが多いです。
膀胱を取り出すことで尿の出し方は変わりますが、専門のケアを受けることで、仕事や趣味を続ける日常へと戻れます。
※引用元:「2015年5年生存率」院内がん登録生存率集計結果閲覧システム
ステージIV
癌がリンパ節や他の臓器に広がっているステージIVでは、手術よりも全身に働きかける化学療法が優先されます。
ステージIVの5年の実測生存率は、13.1%と20%を下回る結果となっています。
ただ命を延ばすだけでなく、家族と過ごす時間の充実を目的とした治療が進められます。
※引用元:「2015年5年生存率」院内がん登録生存率集計結果閲覧システム
膀胱を「温存」できるか「全摘」するかの判断基準

次は、膀胱を温存できるか、全摘するかの判断基準について解説します。
- 筋層非浸潤性膀胱癌なら「排尿という膀胱の機能を保っての生活」が送れる
- 全摘が必要な場合の「尿路変向(ストマなど)」の種類と生活への影響
- セカンドオピニオンを検討すべきケースとは
それぞれの内容について解説しているので、気になる内容がある方は参考にしてみてください。
筋層非浸潤性膀胱癌なら「排尿という膀胱の機能を保った生活」が送れる
筋肉の層まで癌が届いていない「筋層非浸潤性膀胱癌」と診断された場合は、膀胱を切り取らずに残せる可能性があります。
この段階で検討される処置としては、尿道から内視鏡を入れて腫瘍を削る手術が検討されます。
筋層まで届いている腫瘍でも、追加の切除(膀胱に穴を開けない程度に)で膀胱を温存できることがあります。
お腹を大きく開く必要がないため、身体への負担が少なく、退院後の暮らしも以前とほとんど変わりません。
トイレの習慣をそのまま維持できる点は、本人にとっても家族にとっても、大きな安心感につながります。
全摘が必要な場合の「尿路変向(ストマなど)」の種類と生活への影響
癌の根が深く、膀胱をすべて取り除く決断が必要になった際は、尿の出口を新しく作る「尿路変成」という手術を同時におこないます。
代表的な方法には、お腹に袋を貼って尿を溜める「ストマ」を作る術式や、腸を使って新しい膀胱を組み立てる術式など、いくつかの選択肢が存在します。
器具の扱いに慣れるまでは戸惑いもありますが、専門の看護師による助言を受けながら、自分らしい毎日を取り戻す道を探していくことが可能です。
セカンドオピニオンを検討すべきケースとは
自分の身体の一部を切り取るという大きな決断を前に、迷いや不安が生じるのは当然の反応です。
納得して治療に進むために、主治医以外の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」を利用する人は増えています。
別の視点からの説明を聞くことで、温存の可能性や新しい治療法の有無をより詳しく確かめるきっかけになります。
後悔のない選択をするために、少しでも疑問や別の選択肢への希望がある場合は、セカンドオピニオンを申し出る権利があることも念頭に入れておきましょう。
関連記事:膀胱癌の抗がん剤治療の期間は?副作用や仕事・費用の不安解消
再発リスクと治療後の付き合い

次は、再発リスクと向き合い治療後の付き合いについて解説します。
どのような行動や生活が重要になるのか紹介するので、参考にしてみてください。
膀胱癌は「再発しやすい」のが特徴
膀胱癌は一度治療を終えても、別の場所に新しい腫瘍ができる「再発」の多さで知られています。
そのため、手術後の数年間は内視鏡や尿検査による定期的な検査が欠かせません。
もし再発が見つかったとしても、初期のうちに対処すれば、体へのダメージを最小限に抑えられます。
生活習慣の改善(禁煙)が再発率を下げる
膀胱癌の再発を防ぐために、真っ先に取り組みたいのが禁煙です。
たばこの煙に含まれる有害物質は、尿と一緒に排出されるため、吸い続けることは膀胱に刺激を与え続けることになります。
禁煙外来などの専門的なサポートを活用しながら、再発に怯えない毎日を自分の手で作っていきましょう。
まとめ

膀胱癌の治療を進める上で、今後の生活を左右する大きな目安は「筋肉の層」まで癌が届いているかどうかという点です。
早い段階で見つけることができれば、内視鏡による手術によって、おしっこの習慣を変えずに自分らしく過ごせる見込みが十分にあります。
一方で、もし癌が筋肉の層まで進んでいたとしても、今の医療には身体への負担を考えたさまざまな治療の選択肢が用意されています。
退院した後の再発を防ぐためには、定期的な検査に加えて、禁煙などの生活習慣の見直しを地道に続けていくことが欠かせません。
もし不安や迷いがあるときは、一人で悩まずに専門医に相談してみてください。
納得できる治療方法を選び、一歩ずつ回復への道を歩んでいきましょう。
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聞きにくいことは「メール無料相談」で承ります

北海道旭川市にある神楽岡泌尿器科は、「かかりつけ医」になることを目指し、患者本位で、気軽に緊張せずに受診していただける病院づくりを目指しています。
「膀胱癌のステージで悩んでいる」という方は、院長による無料メール相談も行っておりますので、まずはお気軽に疑問点や懸念内容をご相談ください。
病院まで来られない方々にも往診で対応可能です。患者さんご本人だけでは無くご家族の方々からのご相談にもお答えします。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など



