男性不妊の原因|造精機能障害とは?原因・治療法・妊娠への可能性を解説

「妊活を始めたけれど、なかなか妊娠しない」「男性不妊の原因って何だろう」とお悩みではありませんか? 男性不妊の原因は様々ですが、その中で最も多いのが造精機能障害(ぞうせいきのうしょうがい)です。

造精機能障害は、精巣で正常な精子を造る機能が低下している状態を指します。自覚症状がほとんどないため、ご自身で気づくのは非常に難しい病気です。

しかし、適切な診断と治療によって、妊娠の可能性を高めることが十分に可能です。

この記事では、造精機能障害の原因から症状、最新の治療法、そして妊娠の可能性までを分かりやすく解説します。ぜひ、パートナーと一緒に読んで、不妊治療の一歩を踏み出すきっかけにしてください。

造精機能障害とは?

造精機能障害は、精巣で健康な精子を十分に造ることができなくなる状態を指します。この障害により、精子の数・運動性・形態に問題が生じ、自然妊娠が難しくなることがあります。

造精機能障害は、精液検査で以下のいずれかの所見が確認された場合に疑われます。

  • 乏精子症(ぼうせいししょう)

精子の数が著しく少ない状態です。WHOの基準では、精子濃度が1mlあたり1,600万個未満の場合に診断されます。

  • 精子無力症(せいしむりょくしょう):

精子の運動率が低い状態です。WHOの基準では、精子の運動率が42%未満の場合に疑われます。

  • 奇形精子症(きけいせいししょう):

精液中の正常な形態の精子の割合が少ない状態です。WHOの基準では、正常形態率が4%未満の場合に疑われます。

これらの問題は、精子の質を低下させ、自然妊娠を妨げる原因となります。

【男性不妊全体における割合】

造精機能障害は、男性不妊の原因として最も多く、全体の82.4%を占めるとされています。これは、次点の性機能障害や閉塞性精路障害を大きく上回る割合です。つまり、男性不妊で悩むほとんどのケースで、精子を造る機能に何らかの問題があると言えます。

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造精機能障害の主な原因

造精機能障害の原因は多岐にわたりますが、約半数が原因不明の「特発性造精機能障害」とされています。しかし、特定できる原因も存在し、適切な診断によって治療法が見つかる場合があります。

原因の種類特徴と具体例
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)特定できる造精機能障害の原因で最も多く、男性不妊全体の40%に見られます。精巣の静脈が瘤のように膨らむ病気で、精巣の温度上昇や血流障害が精子形成に悪影響を及ぼします。
染色体・遺伝子異常クラインフェルター症候群やY染色体微小欠失など、精子の形成に関わる染色体や遺伝子の先天的な異常が原因です。根本的な治療は難しいことが多いですが、精子が見つかれば生殖補助医療で妊娠を目指せます。
ホルモン分泌異常精子産生に関わるホルモン(テストステロン、LH、FSHなど)の分泌不足やバランスの乱れが原因となります。ストレスや生活習慣の乱れ、下垂体腫瘍などが影響する場合があります。
薬の影響・停留精巣抗がん剤やAGA治療薬、アナボリックステロイドなどの特定の薬剤が精子形成を抑制することがあります。また、停留精巣(精巣が陰嚢に下降しない状態)も、精巣が高温にさらされることで造精機能にダメージが残る原因となります。
精巣炎おたふくかぜなどによる精巣炎が、造精機能障害を引き起こす場合があります。
特発性造精機能障害(原因不明)造精機能障害全体の約半数を占めます。原因は特定できませんが、加齢、睡眠不足、不健康な食生活、肥満、喫煙、精神的ストレスなどが精子の質に悪影響を与えていると考えられています。

造精機能障害の症状|どうやって気づく?

造精機能障害は、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、ご自身で気づくことは非常に難しいとされています。

妊活中を除けば、造精機能障害は日常生活に支障をきたすことが少ないため、放置されがちです。しかし、不妊を疑って専門の泌尿器科を受診し、精液検査を受けることが最も重要な発見のきっかけとなります。

精液検査で精子の状態が基準値を下回ることで、造精機能障害が疑われます。具体的には、精子の「数」「運動性」「形態」に関する問題が症状として現れます。

【精液検査の項目と基準】

精液検査は男性不妊の評価に不可欠な検査です。その基準は、WHO(世界保健機関)が定める「妊娠に最低限必要な数値」に準拠します。

主要な基準値は以下の通りです。

  • 精子濃度:1mlあたり1,600万匹以上
  • 総運動率:42%以上
  • 精子正常形態率:4%以上

これらの基準を下回ると、それぞれ乏精子症精子無力症精子奇形症と診断されます。精子所見は体調により変動するため、一度の検査結果だけで判断せず、複数回行うことが推奨されます。

また、基準値はあくまで「最低ライン」であり、これを満たしていても自然妊娠が難しい場合があります。精子の量だけでなく、質も重要です。

造精機能障害の治療方法まとめ

造精機能障害の治療法は、その原因と症状に応じて、主に手術、薬物療法、そして生殖補助医療を含む対症療法に分けられます。

生活改善・薬物療法

原因が特定できない特発性造精機能障害や、精子の質を補助的に改善したい場合に用いられる方法です。

  • 生活習慣の改善

十分な睡眠、バランスの取れた食生活、適度な運動、禁煙・節酒、ストレス軽減などが精子の質の向上に繋がります。

  • サプリメント・漢方薬

酸化ストレスを軽減する目的で、コエンザイムQ10、L-カルニチン、亜鉛などのサプリメントや、補中益気湯、八味地黄丸などの漢方薬が用いられることがあります。

  • ホルモン補充療法

ホルモン分泌の異常が原因の場合、ホルモンを補充したり、分泌を促進する薬を使用します。

精索静脈瘤の手術(顕微鏡下静脈瘤手術)

造精機能障害の原因として最も多い精索静脈瘤の根本治療です。

  • 手術の目的と効果

精巣への静脈血の逆流を止め、精巣の環境を改善することで、精液所見の大幅な改善が期待できます。手術後3~6ヶ月で50%~70%の方で精液所見の改善が報告されています。

  • 術式

現在では、手術用顕微鏡を用いて動脈やリンパ管を温存しながら逆流している静脈のみを結紮・切断する「顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術」が主流です。合併症リスクが低く、日帰り手術も可能です。

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精子回収(TESEなど)の可能性

精液中に精子が全く見つからない無精子症の場合に検討される唯一の治療法です。

  • 閉塞性無精子症

精巣で精子が作られているものの、通り道が詰まっている状態です。精巣上体精子回収法(MESA)によって、ほぼ100%の確率で精子を採取できます。

  • 非閉塞性無精子症

精子を作る機能自体に問題がある状態です。手術用顕微鏡を用いて精巣内の精子を探して採取する顕微鏡下精巣内精子回収法(Micro-TESE)が用いられます。

精子回収率は3割~4割程度ですが、精子が見つかれば顕微授精(ICSI)で妊娠を目指せます。

造精機能障害でも妊娠は可能?成功事例と確率

造精機能障害であっても、適切な診断と治療を受けることで妊娠は十分に可能です。造精機能障害の患者さんへの治療は、総運動精子数を指標として選択されます。

総運動精子数推奨される治療法
1,638万個以上自然妊娠・タイミング法
900万個~1,638万個未満人工授精(AIH)
500万個~900万個未満体外受精(IVF)
500万個未満顕微授精(ICSI)

無精子症の方でも、TESEなどの精子回収手術で精子が見つかれば、顕微授精によって妊娠の可能性があります。不妊治療の選択肢が多様化している現在、造精機能障害を理由に妊娠を諦める必要はありません。

まとめ

造精機能障害は、男性不妊の最も一般的な原因です。自覚症状がないため気づきにくい病気ですが、精液検査で精子の数、運動性、形態に問題がないか確認することが大切です。

「もしかして?」と感じたら、お一人で悩まずに、まずは神楽岡泌尿器科にご相談ください。早期の診断と治療が、妊娠の可能性を高める第一歩となります。

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