前立腺肥大の手術について種類・適用レベル・術後の治療を詳しく解説

前立腺肥大症の手術には肥大した前立腺を削り取ったり、丸ごと取って細かく分けたりといくつかの種類があります。

今回は、HoLEPを始めとした前立腺肥大症の手術をする神楽岡泌尿器科が、手術について種類、適用レベル、術後の治療までを詳しく解説します。

専門用語を使わずわかりやすく解説しますので、前立腺肥大でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

前立腺肥大手術の種類

前立腺肥大の主流な手術は3種類あります。それぞれ見ていきましょう。

1.TURP(経尿道的前立腺切除術)

野菜の皮剥きのように前立腺を削り取る手術です。血液が多く出る手術であるため体への負担はやや大きい手術になります。

全身麻酔下での手術となり、一般的には2時間前後で終了するケースが多い手術です。術後数日間は尿道カテーテルを挿入し排尿を行います。

出血が多いため、合併症のリスクが比較的高く入院が必要となる手術です。以前は前立腺肥大の手術として主流でしたが、最近ではよりHoLEPやWAVEなど新しい手術方法が出てきたため、体への負担が少ない手術が行われる機会が多くなりました。TURPが行われる機会は以前と比べ減っています。

また、出血が多い手術のため抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を服薬している人には向かない手術です。

2.HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺蒸散術)

HoLEPは前立腺そのものを体から剥がし、細かく切断しながら吸引する方法です。

例えるならば、みかんの皮だけを残し実をレザーでほじくり出すイメージです。

患者さんの体への負担が少ないことが特徴で、近年取り入れている病院が増えてきた手術方法です。

前立腺の外側にのみレーザーを当てるため、TURPと比べて出血が少なく、合併症のリスクも少ない手術になります。

こちらも全身麻酔下の手術であり、一般的には2時間前後で終了する手術です。術後は通常、1日目まで尿道カテーテルを挿入し、問題が無ければ抜去。比較的早く日常に戻れる手術となります。

当院、神楽岡泌尿器科でも取り入れており、日帰り手術が可能です。仕事で忙しい方や、家での療養を選択されたい方に適用しています。

日帰りHoLEPについては、以下の記事で詳しく解説しています。一度ご覧の上、ご検討ください。

旭川で唯一の技術「HoLEPの日帰り手術」について渋谷院長にインタビュー

3.WAVE(前立腺肥大水蒸気治療)

WAVEは2022年9月に日本ではじめて保険適用になった新しい手術方法です。水蒸気を使い、前立腺の肥大した部分を壊死させ体に吸収させることで小さくする手術。

出血が少ない、10分程度で手術が終わるなど、体への負担が少ないことが特徴です。まだ、適用になったばかりの手術なので全国には数件程度しか事例がありませんが、世界でみると幅広く取り入れられている手術です。

詳しくは以下の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

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【最新治療法】前立腺肥大水蒸気治療「WAVE」を紹介【専門医監修】

前立腺肥大の手術が適応になるレベル

まず、尿閉や腎機能低下、膀胱結石など前立腺肥大症による合併症が起きている時はすぐに手術適応となります。これは、重篤化すると命に関わることがあるためです。

また、薬物治療によってあまり効果が得られなかった場合や、症状による心身への負担が大きい場合は手術の選択をすることもあります。いずれも主治医との相談の上、手術は進めていきます。

まれに、当院長の書籍「気持ちいいオシッコのすすめ」に書かれているオシッコのやり方を見直すだけで改善した患者さんも多く見てきたので、一度「快感オシッコ」を試してみる価値もあります。詳しい方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

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前立腺肥大手術の術後

前立腺肥大手術の術後は、手術により異なります。それぞれの手術毎にみていきましょう。

TURPの術後(経尿道的前立腺切除術)

電気メスを使うことから、出血が多いため術後の観察が長めになります。具体的には数日間の安静、尿道カテーテルを入れる必要があります。

通常1〜3週間の入院となることが多く、手術翌日からは歩行や食事が可能、カテーテルが取れてからは入浴も可能となります。

HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺蒸散術)の術後

通常のHoLEPは5日程度の入院をして手術を行います。入院する場合、手術後2時間で飲水可能、夕方から食事可能のため、排尿と入浴以外はほぼ日常生活に戻れます。

ただし、術後数日間は尿道カテーテルが入っている状態で、抜去後も一時的な尿もれをすることがあります。

先ほどお伝えした通り、HoLEPには日帰り手術もあります。仕事に早く戻らなければいけない方や、ご自宅で療養されたい方は参考にしてください。

日帰りHoLEPの術後

HoLEPは日帰り手術も可能です。神楽岡泌尿器科では夕方まで病院で観察させていただき、安全を確認できたら帰宅していただくという形を取っています。

入院との違いとしては、手術当日は尿道カテーテルを入れた状態で帰宅していただき、翌日に抜去、そこから入浴可能と、仕事への復帰が早い点です。

デスクワークであれば次の日から通常の勤務が可能です。ただし、体に力を入れる必要がある仕事(引越し業者など)は復帰まで4〜5日かかるケースが多いです。

WAVEの術後

WAVEの術後も尿道カテーテルを入れることが多く、経過観察が必要です。ただ、海外では日帰り手術として確立されており、日本でも一部の病院では日帰りで行われています。

今のところは入院を必要とすることが多いですが、今後WAVEが広まることで、HoLEP同様日帰り手術が確立され、日常生活にすぐに戻れる可能性があります。

前立腺肥大手術後の治療:禁止事項に注意する

手術後の入院期間や通院は症状や病院により細部異なります。一般的には、以下のような期間に設定されていることが多いです。

術式入院期間通院
TURP7日〜10日病院により異なる
HoLEP5日程度手術1週間後以後2週間に1回を3ヶ月程度
日帰りHoLEPなし1日目(翌日)3日目7日目以後2週間に1回を3ヶ月程度

また、手術後は出血を抑えるため以下のことに注意してください。

手術後は出血を抑えるための注意
  • 2週間は飲酒や激しい運動をしない
  • 2ヶ月はバイクや自転車に乗らない
  • 2ヶ月は温泉やサウナに入らない
  • 2ヶ月は性生活をしない
  • 1日2リットル程度の水分を取る

排尿時、茶色のかたまりやふわふわしたものが出ることもありますが、これは問題ありません。

前立腺手術の後遺症

手術の後遺症としてよく見られるのは以下のようなものです。

手術の後遺症としてよく見られるもの
  • 尿漏れ
  • 夜間頻尿
  • 射精障害が起きる
  • 尿漏れ
  • 夜間頻尿
  • 射精障害が起きる

この中でも特に尿漏れをする方は多く、1ヶ月〜半年程度で回復することが一般的です。半年を過ぎても尿漏れが続く場合は再度医師にご相談ください。

性機能については、薬などで一時的に低下するものの、治療後は勃起能力が回復するケースが多く、性行為自体は行えることが多いです。

ただし、射精障害は起きてしまうため、子作りを考えられている方は、術前に主治医としっかり相談し納得してから承諾するようにしましょう。

まとめ

今回は前立腺肥大の手術について解説しました。

神楽岡泌尿器科では日帰りHoLEP手術が可能です。院長の渋谷先生はWAVEの免許も取得しているため、前立腺の手術を考えている方やお困りの方は無料メール相談をご利用ください。

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