前立腺肥大症の手術後の尿漏れは治る!手術に長けた泌尿器科院長が解説

前立腺肥大術後の尿漏れは、術後に現れる一般的な症状の中でも多く見受けられます。

手術は本当にうまくいったのか。このまま治らないと生活に支障が出てしまう。そういった悩みを抱えながら日々過ごすのは非常に不安です。

ですが術後の尿漏れは、時間をかけて膀胱や括約筋のトレーニングを重ねていくことで確実に治すことができます。

そこで今回は、あらゆる前立腺肥大患者の悩みを解決してきた神楽岡泌尿器科の渋谷院長が、術後に尿漏れが起こるメカニズムとその改善方法について解説します。

今まさに術後の尿漏れに悩まされている方はぜひ最後までご覧ください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

結論:前立腺肥大症の手術後の尿漏れは治ります

術後の尿漏れは確実に治ります

当院で行っている前立腺肥大症の手術「HoLEPホーレップ手術」は、前立腺肥大の実の部分を取る手術であり、その下にあるおしっこを止める括約筋を傷つける手術ではありません。

おしっこが溜まり固くなってしまった膀胱や、括約筋のリハビリを時間をかけてトレーニングしていくことで尿漏れはちゃんと止まります。

前立腺肥大症の手術後に尿漏れするのはなぜ?メカニズムを解説

前立腺が大きい人は上でおしっこが詰まっているので、括約筋の本来おしっこを止める役割がうまく機能できていません。

手術で前立腺の実を取り除くと、力が弱っている括約筋へ急に蛇口が開いたようにおしっこが流れるため、一時的に尿漏れが起きてしまいます。

これを手術のせいで垂れ流しになってしまったと誤解される方がいますが、術後の一時的な尿漏れは必然的に起こるものです。

当院では、このようなメカニズムを事前にお伝えし不安の解消に努めています。

前立腺肥大症の手術後の尿漏れはどのくらいの人がなる?いつまで続く?

前立腺肥大症の手術により前立腺を取り除いた直後は、ほとんどの患者さんが尿漏れを経験します。術後の尿漏れの症状は徐々に緩和され、3ヵ月後には日常生活に支障がない程度に回復します。6ヵ月後にはほとんどの患者さんが回復すると言われています。

しかし、海外の文献では、前立腺をすべて摘出した患者さんのうち、1年後に9%の患者さんにおいて尿漏れが続き、改善しないという報告もあります。

もし前立腺肥大症の手術から半年以上、尿漏れが続く場合は、主治医に相談するようにしましょう。

前立腺肥大症の手術後に頻尿になるのはなぜ?改善される?

前立腺肥大症の手術後、頻尿に悩まされている方は、手術前から前立腺肥大によって膀胱が過敏になり「過活動膀胱」を引き起こしている可能性があります。

男性の場合、前立腺が肥大すると尿が出にくくなるため、排尿のたびに膀胱に大きな負担がかかります。この状態が長く続くと、膀胱の筋肉が過敏になり、少しの刺激でも尿意を感じやすくなってしまうのです。これが、手術後の頻尿の原因の一つと考えられます。

しかし、前立腺肥大症の手術後の頻尿はリハビリによって改善できるのでご安心ください。

手術前の膀胱の膨らみ具合や固さがどれくらい悪くなっているかにもよりますが、必要に応じて手助けの薬を使用していきながら、リハビリを通じて時間をかけて治していくことが大切です。

前立腺肥大症の手術後の尿漏れに効果的な4つの習慣

1.括約筋のトレーニング

術後の尿漏れには括約筋のトレーニングが効果的です。

肛門と尿道の括約筋は連動しているため、お風呂に入った時やテレビを見ている時に、肛門を閉める練習から始めてみましょう。

2.おしっこをちょっと我慢する

尿意を感じたとき漏れたら困るから早くおしっこに行くのではなく、少し止めておこうという意識をもって、数分から数十分無理なく我慢しましょう。

この時、お腹にグッと力を入れて我慢するのではなく、肛門と尿道をきゅっと閉めて普通に深呼吸しているのが正しい体勢です。

3.気持ちいい排尿習慣をもつ

適当な水分補給をとりながら、おしっこをちょうどいい量溜め、いきまずにリラックスしておしっこをすることが気持ちいい排尿習慣の第一歩です。

4.オシッコの量を測ってみる

オシッコの一回量を測って記録をつけるのも有効な手段です。100均で軽量カップを買うか、洗って使い続けるのが嫌な方は、尿検査のように紙コップでもOKです。

一回の量が大体どれくらい出ているのか、一日何回くらいトイレに行っているのかを記録する「排尿日誌」をつけておくのもおすすめです。

泌尿器科医もすぐに状況がわかるので、よりあなたの悩みを解決できる治療方針を決められます。排尿日誌のテンプレートを作ったので、ぜひ使ってみてください。

排尿日誌を見てみる

前立腺肥大症の手術後の日常生活で注意すること 

上記で紹介した排尿習慣を意識して気持ちいいおしっこをするためにも、適当な水分補給が大切です。

あとは、健康的な面においても言えることですが、アルコールや刺激物の摂りすぎは避けるようにしましょう。

そのほか、手術後の生活としては、何がダメというわけではありません。健康被害の出ないレベルで普通の生活をしても良いと思います。

これまで皆さんが食べてきたもの飲んできたもの、自分の習慣を保てるように手術をするんだと考えてほしいので、当院ではこれがダメだという制限もほとんど出していません。

渋谷先生
渋谷先生

まとめ

今回は、前立腺肥大術後の尿漏れについて解説しました。術後の尿漏れが起こるメカニズムを正しく理解し、リハビリによるトレーニングを重ねていくことで、術後の尿漏れは確実に改善されます。気持ちいい排尿習慣を身につけるためにも、まずはできることから実践してみましょう。

神楽岡泌尿器科では、前立腺肥大に関する悩みを解決する情報を多く公開しています。他にも抱えている不安やお悩みがありましたら、ぜひ参考にしてください。

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