前立腺肥大症とアルコールの関係性とは?泌尿器科専門医の見解

前立腺肥大症とアルコールの関係性とは?泌尿器科専門医の見解

実は前立腺肥大症の方がお酒を飲むと、尿が出にくくなるなどの症状が出る場合があります。

これはアルコールの作用により、膀胱の縮まりが弱くなり、前立腺がむくみやすくなることが原因です。

その違和感を放置したままお酒を飲み続けてしまうと、急におしっこが出なくなる「閉尿」を引き起こすきっかけに繋がります。

そこで今回は、前立腺に関する豊富な知識を持つ神楽岡泌尿器科が、前立腺肥大症とアルコールの関係性について解説します。

記事の中では、アルコールとの付き合い方について、当院の院長である渋谷先生の見解も載せているのでぜひ最後までご覧ください。

前立腺肥大症とアルコールの関係性

前立腺肥大症の患者がアルコールを摂取すると、膀胱の縮まりが弱くなり、尿が出にくくなる場合があります。

これはアルコールによる膀胱の収縮力を緩める作用が働き、膀胱内に尿が普段以上に多く溜まり、排尿時の尿を押し出すパワーが落ちてしまうことが原因です。

また、お酒を飲むと血行が良くなるため、血の巡りがよくなるとむくみやすくなります。よく怪我をして手術した時にアルコールはダメというのは、患部がむくんでしまうからです。

前立腺の腫れという観点からみても、アルコールによって腫れは強くなるため、これも排尿状態が弱くなる要因の一つです。

さらに症状が深刻な場合だと、アルコールによって急に尿が出なくなりお腹が張って苦しくなる「尿閉」が引き起こされる可能性があります。

これは市販薬の風邪薬などの服用でも同じ危険性があるため、前立腺肥大症の方が、風邪薬を飲むときには注意書きを確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談をしてください。

以上の点から、尿が出にくくなるのは、前立腺肥大による圧迫と上の膀胱のポンプのパワーの問題であり、そのバランスを崩す原因としてアルコールやお薬などが関係しています。

お酒を飲んだ日に症状がでた場合の対処法

お酒を飲んだ日に尿が出にくくなる症状の原因は、膀胱の収縮力の低下と、前立腺のむくみにあります。

アルコールによる症状は、時間の経過とともに改善されることが多いですが、体から早くアルコールを抜くためにも、適度な水分補給と、連日ふか酒になるようなお酒の飲み方は控えるようにしましょう。

一方で、なかなか症状が改善されず、膀胱内に尿が多量にたまっているのに尿がまったく出ない(尿閉)ときには、緊急処置として尿道からカテーテルを挿入し、膀胱に溜まった尿を排出させる必要があります。

尿閉の状態が続いてしまうと、膀胱炎や腎臓への負担が大きくなってしまうため、症状がある場合には無理をせず、泌尿器科専門医に相談しましょう。

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アルコールは尿閉やおしっこが出にくいなどの症状のきっかけになりますが、ちゃんと水分をとって、ちょうどいい量のおしっこを溜めてから、いきまないでする排尿習慣が身についていれば、アルコールが全くダメだということではありません。

ただし、急な飲み過ぎは健康面においてもよくありません。晩酌もほどほどに気持ちいいと思えるぐらいに飲んでください。何もかもわからなくなってしまうような飲み方は避けるようにしましょう。

自分の前立腺の状態を把握して、尿の出方を正しく理解しておくことが肝心です。
渋谷先生
渋谷先生

気持ちいい排尿習慣を身につけるトレーニングは以下の記事で詳しく紹介しています。

まとめ

今回は、前立腺肥大症とアルコールの関係性について解説しました。

前立腺肥大症の方がお酒を飲むと膀胱の収縮力が弱まり、前立腺がむくみやすくなることでおしっこが出にくくなったり、閉尿を引き起こすきっかけに繋がります。

お酒を飲んだ日に症状があらわれた場合は、まずアルコールを体から抜くことを優先し、症状が続く場合には、我慢をせず泌尿器科を受診するようにしましょう。

神楽岡泌尿器科では前立腺のお悩みに関して、院長の渋谷先生に直通のメール相談が可能です。今回の記事で気になる点や、ご自身の症状に不安を感じる方はお気軽にご相談ください。

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