「尿意があるのに尿が出ない」時の原因と対処法を泌尿器科が解説

尿意があるのに尿が出ないのは大きなストレスになりますよね。当院に通われる患者さんからも多く寄せられる悩みです。

そこで今回は、オシッコのスペシャリストである神楽岡泌尿器科が、尿意があるのに尿が出ない時の原因や対処法を解説します。

放置するとどうなるかについても解説しているので、まずは一度記事を読んであなたの状況と照らし合わせてみてください。

「尿意があるのに尿が出ない」時の原因

まず、尿意があるのに尿が出ない状態は大きく2つに分けられます。

  1. 排尿障害:尿の出が悪い、途中で止まる、尿意が強いのに尿量が少ないなど
  2. 膀胱炎などの炎症:尿自体が溜まっていないので尿がでない

それぞれ解説します。

1.排尿障害の原因

排尿障害の原因は多くあり、代表的な例は以下の通り。

  • 前立腺肥大
  • 尿道が狭くなっている
  • 膀胱内に結石ができていたり、膀胱炎などの感染炎症がある
  • 膀胱や尿道の筋力が低下している
  • ストレスにより膀胱や尿道の筋肉が緊張している
  • 薬の副作用

男性は特に「前立腺肥大」が多く、50歳で30%、80歳で90%近くの人に前立腺が見られるという発表もあります。つまり、年齢を重ねるにつれて尿の出が悪くなる人が多いということ。

ただし、排尿時に痛みを伴う場合は、炎症を起こしていたり結石ができている可能性があるため、早めにご相談ください。

2.膀胱炎などの炎症による尿閉の原因

尿閉の原因には、「膀胱のポンプ機能の低下」と「膀胱出口の開口障害」があります。

膀胱のポンプ機能の低下は、神経機能の問題や筋肉の異常などが原因で、膀胱のポンプ機能が正常に働かなくなること。

膀胱出口の開口障害は、前立腺肥大症、尿道結石、膀胱結石、腫瘍などが尿道を圧迫し、尿の流れを妨げることが原因です。

尿閉は放置すると腎機能障害に繋がるケースも多く、最悪の場合腎不全になります。尿意があるのに尿が全く出ない場合は、すぐに受診するようにしましょう。

上記の他、服用している薬(鎮痛剤や抗うつ剤など)の副作用で尿閉になってしまうケースもあります。

では、尿意があるのに尿が出ない時にはどういった対策があるのかを見ていきましょう。

「尿意があるのに尿が出ない(出にくい)」時の3つの対策

尿意があるのに尿が出にくい場合、まずは以下の対策を試してください。

  1. トイレをリラックスできる環境にする
  2. いきまない(力を入れない)
  3. 少し我慢してからトイレに行く

1.トイレをリラックスできる環境にする

「しっかり尿を出さなきゃ!」と気を張ると、ストレスがかかり余計に排尿が難しくなります。好きな香りの芳香剤を置いたり、植物を置いたり、音姫などで川の音を流したりなど、排尿時にリラックスできる環境を整えてみると尿が出やすくなる場合があります。

2.いきまない(力を入れない)

排尿は本来、力を入れなくてもできるものです。排尿しようと脳から指令を受け取ると、膀胱は自然に収縮します。そして尿道括約筋がゆるみ、尿道もゆるんで溜められていた尿が自然に排出されるのです。

排尿に集中しないために、便座に座って雑誌を読みながら自然に排尿してみるのも一つの手です。

また、普段からいきまないと尿が出ない人はトイレに行くタイミングが早すぎるのかもしれません。

3.少し我慢してからトイレに行く

個人差はありますが、成人の膀胱は500ml前後の尿を溜められます。一般的に排尿した方が良い尿量は300mlであるため、少し我慢してからトイレに行きましょう。

目安としては、「少しトイレしたいな」くらいだと150ml、「我慢しきれない、トイレに行きたい!」と思うくらいが300mlです。

頻繁にトイレに行きすぎると、膀胱炎のリスクも上がります。また、尿量が少ない状態での排尿はいきむことにも繋がりますので、自然に排尿できるくらいまで溜めてからトイレに行きましょう。

それでも尿が出ないなら専門医に相談する

紹介した対策を行っても改善しない場合は専門医に相談しましょう。

当院、神楽岡泌尿器科でも診察は行っていますが、受診前に相談しておきたいという方は院長直通の無料メールも受け付けております。

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「尿意があるのに尿が出ない」症状を放置しておくと…..

「尿が出ないけど、痛みも無いし漏らしもしない、困ってないからいいか」と放置してしまうと、大変なことになります。

ここでは尿が出ない症状を放置した際に起こりうる3つの未来を見ていきましょう。

1、腎機能が悪化する

尿が膀胱に溜まり続けると、腎臓に負担がかかり、腎機能が低下することがあります。腎不全になるリスクが上がり、最悪の場合血液透析を受けることになってしまいます。

2、膀胱感染症(膀胱炎)になる

尿が長期間膀胱に溜まると、細菌が繁殖しやすくなり、感染症が発生するリスクが高まります。一般的に「膀胱炎」と呼ばれる状態で、排尿時に痛みが出たり、急に強い尿意に襲われたりと強いストレスを抱えることになります。

3、膀胱の筋肉が弱くなり、正常に排尿できなくなる

長期間尿閉が続くと、膀胱の筋肉が弱くなり、尿が正常に排出できなくなることがあります。

正常に排尿できないと、残尿や尿失禁、膀胱炎に繋がるリスクが上がり、先ほど紹介した症状に繋がります。

ただし、「多くトイレに行って頻繁に排尿しよう!」と考えるのも危険です。適度な我慢と排尿のタイミングは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

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まとめ

今回は「尿意があるのに尿が出ない」状態について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。

今回のポイント

  • 尿意があるのに尿が出にくいのは「排尿障害」
  • 尿意があるのに尿が全く出ないのは「尿閉」で、すぐに通院が必要
  • 尿が出にくい時は「トイレをリラックスできる環境にする」「いきまない」「少し我慢してからトイレに行く」
  • 尿意があるのに出にくい症状を放置すると、多くのデメリットがある

当院では、院長直通の無料のメール相談を随時受け付けています。勿論、相談したからといって必ず当院に受診に来る必要もありません。気軽に、オシッコの不安をご相談いただければと思います。

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YouTubeにも動画をあげているため、相談前に院長がどのような人か見てみたい方は、ぜひご覧ください。

また、当院の院長はオシッコスペシャリストとして、子供の排尿について「どのように教育したらいいのか困っている」という方の答えになるように、オシッコの本を出しています。

著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。

気持ちいいオシッコのすすめ』 

著者:渋谷秋彦