【前立腺肥大と筋トレ】効果的な運動と悪化させるNG習慣を泌尿器科医が解説

「前立腺肥大症と診断されたけれど、筋トレを続けても大丈夫?」「どんな運動が症状の改善に繋がるの?」

前立腺肥大症の予防や進行抑制において、適度な運動は非常に重要です。特に筋力トレーニングは、男性ホルモンのバランスを整え、生活習慣病のリスクを減らすことで、前立腺の健康を間接的にサポートします。

この記事では、前立腺肥大症に筋トレが良いとされる医学的な理由から、症状改善に直結する具体的なトレーニング方法(スクワット・骨盤底筋体操)、そして前立腺を圧迫して症状を悪化させるNG習慣までを詳しく解説します。

1. なぜ筋トレ(運動)が前立腺肥大症に良いのか?

前立腺肥大症の発症には、加齢のほかに肥満、高血圧、高血糖といった生活習慣病が深く関わっています。適切な運動は、これらのリスクを改善し、前立腺の健康をサポートします。

①発症リスクを約25%軽減する

研究によると、週に150分以上の中等度の運動を行う男性は、運動習慣のない男性と比較して、前立腺肥大症の発症リスクが約25%低いというデータが報告されています。健康的な生活習慣(運動習慣を含む)を維持している男性は、発症リスクが約30%低いとも示されています。

②筋トレの医学的なメリットがある

ホルモンバランスの調整

筋トレは男性ホルモンであるテストステロンのバランスを整えます。前立腺肥大は、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されて前立腺組織を刺激することが一因とされるため、ホルモンバランスの改善は予防に役立つ可能性があります。

血流改善と負担軽減

長時間座り続けることによる前立腺周辺の血流の滞りを改善します。30分から1時間に一度立ち上がり、体を動かすことが前立腺への結構改善に繋がります。

肥満・生活習慣病の予防

筋トレは有酸素運動と組み合わせることで、効率的な体重管理や代謝改善を促し、前立腺肥大症の大きなリスク因子である肥満を解消します。

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2. 前立腺肥大症におすすめの筋力トレーニング

前立腺肥大症の予防と症状改善に特に推奨される筋トレは、下半身の大きな筋肉を動かすものと、排尿機能を直接サポートするものです。

① 下半身の血流を促す:スクワット

スクワットは、前立腺を含めた下半身の血流を良くする効果が期待できます。

効果下半身の血流を良くし、前立腺への負荷を軽減します。
方法負荷が軽めの「ノーマルスクワット」から始めましょう。
実施目安無理のない範囲で、朝晩10回程度から継続的に行うことを推奨します。週に2~3回の全身の筋力トレーニングを目標としましょう。

② 排尿機能と尿漏れ対策:骨盤底筋体操

骨盤底筋は、膀胱や内臓を支え、尿道や肛門の開閉をコントロールする役割を持つ重要な筋肉です。この筋肉を強化する体操は、前立腺肥大症による尿漏れや排尿機能の改善に直接効果を発揮します。

効果尿漏れを起こりにくくする効果が期待できます。特に咳やくしゃみなどで圧力がかかった瞬間の尿漏れを防ぐのに有効です。
方法仰向け、座位、立位など、どの姿勢でも可能です。尿道・肛門をギュッと締めて、5~15秒キープします(排尿・排便を我慢するイメージ)。その後、力を抜いて30秒ほどリラックスします。
この動作を20回で1セットとし、1日4セット(朝、昼、夜、就寝前)を目安に毎日継続しましょう。
継続期間効果を実感できるまで約3ヶ月程度かかると言われています。毎日コツコツ続けることが成功の鍵です。
補足骨盤底筋の感覚が分かりにくい方は、内転筋(内ももの筋肉)を鍛えることも効果的です。脚を広げて行うワイドスクワットは骨盤底筋の補強に繋がります。内転筋は骨盤底筋と繋がっており、共同で収縮します。

3. 筋トレと運動に関する注意点とNG習慣

前立腺の健康を保つためには、運動の種類や方法に注意が必要です。間違った方法で行うと、かえって症状を悪化させる可能性があります。

長時間の自転車乗りサドルに座る姿勢が前立腺を直接圧迫し、症状を悪化させる可能性があります。長時間のサイクリングは控えましょう。
長時間の座り仕事血流が滞り、前立腺への負担が増大します。30分から1時間に一度は立ち上がって歩いたり、ストレッチをしたりする休憩を取りましょう。
過度な筋力トレーニング適度な筋トレは良いですが、過度な運動は体に負担をかけます。無理のない強度と時間で行うことが大切です。

骨盤底筋体操は有効ですが、行う際に以下の点に注意が必要です。

  • 息を止めない:強い力を入れる際に息を止めると、血圧が急激に上がる「バルサルバ効果」のリスクがあります。必ず呼吸を続けながら行いましょう。
  • 意識を集中する:腹筋やお尻の筋肉など、骨盤底筋以外の部位に力が入らないよう、目的の筋肉を意識して鍛えることが重要です。

4. 筋トレと並行したい前立腺に良い生活習慣

筋トレと合わせて、以下の生活習慣を改善することで、より強力に前立腺肥大症の予防・改善に繋がります。

有酸素運動を習慣化ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、前立腺周辺の循環を促進し、排尿機能を良い状態に保つのに役立ちます。1日30分のウォーキングを目安に始めましょう。
飲酒・喫煙習慣の改善アルコールには利尿作用があり、特に夜間の飲酒は頻尿を悪化させます。喫煙は血流を悪化させるため、禁煙・節酒を心がけましょう。
体重管理健康的なBMI(18.5〜24.9)を維持し、内臓脂肪の蓄積を防ぐことが重要です。

まとめ:筋トレを正しく取り入れ、前立腺の健康を守ろう

前立腺肥大症と筋トレの関係について、重要な点をまとめます。

  1. 適度な筋トレ(特にスクワット)は、ホルモンバランスを整え、血流を改善し、発症リスクを軽減する効果が期待できます。
  2. 排尿トラブルには、骨盤底筋体操が特に有効です。毎日継続することが重要です。いきみをかけない気持ちいいおしっこも大事です。
  3. 長時間の自転車乗り過度な運動は前立腺に負担をかける可能性があるため避けましょう。

前立腺肥大症の治療は、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善が症状緩和の土台となります。不安な症状がある方や、ご自身の運動方法について相談したい方は、ぜひ一度、神楽岡泌尿器科にご相談ください。

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