実は前立腺肥大症そのもので痛みは起きません。ただし、前立腺肥大があると、炎症を起こして「前立腺炎」になりやすいという報告があります。
そこで今回は、多くの患者さんの悩みと痛みを解決してきた神楽岡泌尿器科が、痛む場所別に原因を解説、放置した場合どうなるかについても紹介していきます。
中には今すぐに受診した方が良い痛みの種類もありますので、当てはまった人はお近くの
泌尿器科に電話してください。
場所別:前立腺肥大の痛みの原因
前立腺肥大症で痛みが出ることは通常ありません。他の原因として、「前立腺炎」を起こしている可能性があります。
ここでは痛みの場所別に原因と考えられるものを見ていきましょう。
排尿時に痛む、発熱がある
急性前立腺炎の可能性があります。特に最近になって痛み始めた人は可能性が高いです。
急性前立腺炎は、前立腺に細菌がつき、感染して炎症を起こしている状態。睡眠不足や疲労など免疫が低下している時に起こりやすいことが特徴です。
抗生物質(内服薬や点滴)で治ることが多いので、一度通院しましょう。早ければ早いほど辛い時間が少なく済みます。
陰嚢や精巣(睾丸)が痛い、下腹部や股の付け根が鈍く痛む、射精時に痛む
慢性前立腺炎の可能性があります。鈍い痛みがずっと続いている人はこの可能性が高いです。
慢性前立腺炎は、血液の流れが悪くなって起こると考えられている状態。パソコン仕事や運転など、長時間座ったままの人に多いことが特徴です。
薬で炎症と痛みを緩和させながら、生活習慣を見直して改善していきます。こちらは薬で治すというよりは、血行障害を治していくイメージです。

背中や腰回りが痛い
これは今すぐに受診してください。背中や腰回りの痛みは、腎臓が悲鳴を上げている可能性があります。
前立腺肥大症があって、オシッコが思うように出ないと腎臓にダメージが蓄積していきます。腎臓が腫れると、腎被膜という膜が引っ張られ、痛みが出てくる。
これを放置すると、尿路結石で激痛が走ったり、人工透析が必要になったりとあなたにとって良くないことばかりが起きます。
背中や腰回りが痛い人はすぐに泌尿器科を受診しましょう。「もう若くないからなのかな…」と放置していると大変なことになります。
痛みを放置すると腎臓に負担がかかりやすい
急性前立腺炎は放置すると熱が上がったり、慢性前立腺炎になってしまうことがあります。
慢性前立腺炎を放置すると、歩くことや座ることも辛くなる、おしっこが更に出にくくなり腎臓に負担がかかるなど、悪いことばかりです。
最悪の場合腎不全になって、人工透析を一生しなければならないなど、負担が大きくなります。お金もかかります。
早め早めの段階で治療していくことが、あなたの健康な将来に繋がります。
痛みへの対処法:ひとまず痛み止めを飲んで、すぐ通院
痛みが出ている場合は、体が限界のサインを出しているということなので、まずは受診しましょう。無理に我慢することはありません。
風邪と同じで、早めの段階で対処できれば回復も速いです。逆に放置すると腎不全など取り返しのつかないことになりますので、忙しいかもしれませんが時間を見つけて受診してください。
前立腺炎かも?と思った時の注意点
排尿時の痛みや股間周りの鈍い痛みで「前立腺炎かも?」と思ったら、以下のことに気をつけましょう。
- 長時間座ったままにならない(1時間に1回歩く)
- アルコールを控える
- 下半身を冷やさない
- ストレスを溜め込まない
- 十分な水分を採り、気持ちいいオシッコを心がける
それぞれ前立腺炎を悪化させる可能性が高いものです。血流を悪くしないこと、免疫力を下げないことが大切。
まとめ
今回は前立腺肥大症がある方で、痛みがある場合について解説しました。痛みがある場合は前立腺炎を引き起こしている可能性が高く、放置すると腎臓の機能障害に繋がる可能性があるので早めに治療しましょう。
特に座りっぱなしの仕事の人は知らず知らずのうちに慢性前立腺炎になっている可能性があるので注意してください。
前立腺肥大でオシッコが出にくいなどお悩みがありましたら、他の記事でも解説しているのでぜひご覧ください、メールで相談してくれても良いです。