多尿の原因・種類・治療と頻尿との違いを泌尿器科が教えます【トイレに悩む方必見】

「最近なんだかおしっこが多い気がする…」

当院の患者さんでも、多尿で不安を抱える方は多くいらっしゃいます。多尿は隠れた疾患を発見する足がかりにもなるため、意外と大事なサインです。

そこで今回は、オシッコのスペシャリストである神楽岡泌尿器科が多尿の定義・原因・種類から治療方法まで解説します。

院長直通のメールもありますので、記事を読んで不安に思うことがあればご相談ください。

多尿の定義

一般的には、成人が1日に排尿する尿量が3リットルを超える場合、多尿と言われます。よく混同される頻尿ですが、明確な違いがあるので解説します。

多尿と頻尿の違いは「量」か「回数」か

読んで字の如く、多尿は尿の量が多い状態です。

それに対して頻尿は、通常よりも尿が頻繁に出る状態で、一般的には1日に8回以上の排尿がある場合頻尿とされます。(ただし、個人差や水分摂取量によって変わるため目安です)

つまり、多尿は「排出される尿の量」が増加する状態であり、頻尿は「排尿の回数」が増加する状態です。

頻尿のセルフチェックの方法については以下の記事で解説しています。「排尿の回数が多い」方はまず頻尿のチェックをしてみてください。

悩んでいる方は頻尿をセルフチェックしてみよう!手順や方法を泌尿器科が教えます

ただし、多尿と頻尿が同時発生するケースもあり、そういった場合の多くは原因が複数あることが多いです。

次は多尿の原因について見ていきましょう。

多尿の原因

多尿の原因は大きく3つに分けられます。「疾患が原因」「飲んでいる薬が原因」「生活習慣が原因」。

多尿の原因となる疾患や状態
  1. 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)
  2. 尿崩症(中枢性尿崩症、腎性尿崩症)
  3. 利尿剤の使用
  4. 腎臓病
  5. 高カルシウム血症
  6. 高カルシウム血症
  7. バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
  8. 心不全
  9. 慢性腎盂腎炎
  10. 妊娠
  11. 神経因性膀胱
  12. 過剰な水分摂取やカフェイン、アルコールの摂取

など

尿は腎臓で作られるため、腎臓の機能が害されると多尿に繋がることがあり、「糖尿病」や「腎性尿崩症」は代表的な例です。

症状を把握するためにも、多尿の種類についても学んでおきましょう。

多尿の種類

ここでは、一般的に多く見られる多尿の種類について紹介します。

※あくまで一例としての紹介ですので、多尿でお困りの場合は自己判断せずに受診をおすすめします

1.夜間多尿

夜間に尿量が多くなり、トイレのために起きる状態が夜間多尿です。原因としてはカフェイン・アルコールなど利尿作用があるものの摂取や、高血圧、腎機能障害などが挙げられます。

受診の目安としては、夜中に2回以上トイレに起きる、夜中のトイレが原因で日中眠くて辛いなど。夜間の尿が1日尿量の30%を越えると異常な夜間多尿と判断されます。

2.糖尿病性多尿

糖尿病性多尿は糖尿病が原因で血糖値が高くなり、腎臓が過剰に水分を排出して多尿になる状態のことです。

血糖値の適切な管理によって改善されることが多い多尿のため、糖尿病の治療を続けていけば回復します。

3.尿崩症性多尿

尿崩症性多尿は抗利尿ホルモン(ADH)の分泌異常によって引き起こされる多尿です。中枢性尿崩症(ADH分泌不足)や腎性尿崩症(腎臓でのADH作用不足)があります。

症状だけ見ると夜間多尿や糖尿病性多尿と共通する部分があり、受診と血液検査をして初めて発覚することが多い種類の多尿です。

4.利尿期多尿

利尿剤は尿量を増加させ、水分やナトリウムなどの排泄を促すことが目的ですが、副作用として多尿が現れることがあります。この状態が利尿期多尿です。

5.一過性多尿

一過性多尿とは、疾患に関係なく一時的な原因(例えば、過剰な水分摂取、カフェインやアルコールの摂取)によって引き起こされる多尿です。原因が解消されると、通常は多尿の症状も改善されます。

次に、多尿の治療方法についてみていきましょう。

多尿の治療

多尿の治療は原因により異なります。ここでは3つのパターンをみていきましょう。

パターン1:原因疾患がある場合

原因疾患がある場合、その疾患の治療をすることで多尿が治る場合が多いです。

例えば、糖尿病であればインスリンを適切に使うことにより血糖値が正常範囲に保たれ、尿量が普通に戻るなど。

原因疾患になりうる一例は以下の通りです。

  • 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)
  • 尿崩症(中枢性尿崩症、腎性尿崩症)
  • バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
  • 高カルシウム血症
    など

パターン2:薬物療法が原因の場合

多尿を併発しない疾患でも、薬の副作用で利尿効果があるものもあります。処方せんの薬名で検索して、副作用に利尿効果がある場合は病院で相談しましょう。

また疾患によっては(心不全や腎不全など)、あえて多尿にすることで体内のバランスを取る治療がされることもあります。そのため、自己診断で薬をやめてしまうのは禁物です。

パターン3:疾患や薬が原因でない場合

疾患や薬が原因でない場合、生活習慣を改善すると多尿が治るケースもあります。夜間の飲水量が多い場合がほとんどですが、特に緑茶やコーヒーに含まれる「カフェイン」や、お酒に含まれる「アルコール」は利尿効果があるため、日常的に飲んでいる人は量を見直してみましょう。

まとめ

今回は多尿について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。

まとめ
  • 多尿は尿の量が多いこと(一般的に1日3L以上)
  • 頻尿は排尿の回数が多いこと(一般的に1日8回以上)
  • 多尿の原因は「疾患」「薬」「生活習慣」が主な原因
  • 多尿の治療は原因により異なる

「夜にトイレに起きるのがつらい」「尿が多い気がするけれど、どうしたら良いかわからない」などのお悩みがある方は、気軽にメールでご相談ください。

当院では、院長直通の無料のメール相談を随時受け付けています。勿論、相談したからといって必ず当院に受診に来る必要もありません。気軽に、オシッコの不安をご相談いただければと思います。

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また、当院の院長が書いた著書は、おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。

気持ちいいオシッコのすすめ』 著者:渋谷秋彦