タグ別アーカイブ: 介護

認知症の人に対する排泄ケア

1.動ける認知症の人の排泄ケア

①動ける認知症の人の場合、排尿日誌をつけることで排尿パターンのみならず生活の仕方やその対処法が明確になり、排泄の問題や対策をスタッフや家族で共有できるなど様々な効果が得られます。また、排尿パターンに従って事前にトイレに誘導することで、排泄の自立性を保つよう支援できます。

②排泄誘導や着替えを拒否する人は、他人に聞かれないように小声で丁寧に声かけし、手早く後側から着替えやおむつ交換を行うなど自尊心に配慮したケアを行うことが大切です。

③汚れた下着などを引き出しなどに隠す人の場合、気付かれないように汚れた下着を洗濯して元の場所に戻し、決して叱責しないようにしましょう。

④トイレの場所は便所と明記し、終日明るくして、見つけやすいように工夫しましょう。

IMG_20160614_0001

2.座位が保てる認知症の人の排泄ケア

①排尿日誌をつけることで、おむつ交換やポータブルトイレに誘導するタイミングを把握することができます。

②初めてポータブルトイレへの移乗をするときは夜間は避けて、昼間、排便時に本人の調子の良いときを見計らって練習するのがよいでしょう。

③ベッドからの起居移動動作が安全に自立して行えるよう、ベッドの介助バーやポータブルトイレを置く位置を検討しましょう。

④あらかじめポータブルトイレのバケツに消臭液を溶かした水を張っておくと掃除が楽です。また、トイレ内に洗浄シャワーをつけておくとバケツや尿器の洗浄に便利です。

IMG_20160614_0002

3.動けない認知症の人の排泄ケア

①寝たきりの人でも排尿日誌をつけることで、排尿パターンの把握によるおむつの交換時期や適切な紙おむつの選定が可能になります。事前の排泄ケアによって、弄便やおむつ外し、ベッドからの転落などを予防することができます。

②ベッドからの転落が予想される人は、ベッド柵で動けないようにするのではなく、ハイローベッドを最低位にして床にマットを敷く、または畳上のマットレスを使用するなど工夫して安全性を確保しましょう。

③おむつ外しや汚物を触るなどの行為をする人は、尿便意のサインやおむつのもれによる不快感を表現しているともいえます。表情や行動をよく観察して適切に対応しましょう。

④尿留置カテーテルを手で抜こうとする人は、毎日カテーテルの固定位置を変えて皮膚のトラブルを予防しましょう。

IMG_20160614_0003

排尿管理のポイント(1)

これまでにご紹介してきた内容とも重複しますが、あらためてもう一度その重要性について述べてみます。なぜなら、このことは日常の生活全般に大きく影響を及ぼすからです。主にご家族の介護をされる方向けにご紹介しますので、参考にしてください。

ADL(日常生活活動)の改善

移動の方法や生活の仕方に応じた生活環境や排泄用具を整え、できるだけ排泄の自立を目指します。

①ベッド上でおむつをあてて排尿している人でも、尿意があれば電動ギャッジヘッドで背中を起こし採尿器での練習をさせます。

IMG_20160524_1

②ベッドの端にひとりで座ることができる人には、高さが調節できる安定性のよいポータブルトイレを使い指導を行うと、自力で移動でき、足が床につくので排尿が楽になります。足が床につくことをレッグサポートと呼び、骨盤底筋群の弛緩により排尿反射が起こりやすくなります。

IMG_20160524_2

③なんとかトイレまで移動できる人に対しては、廊下やトイレの壁への手すりの設置、立ちしゃがみが楽な洋式トイレへの改造をおすすめします。

IMG_20160524_3

便秘の改善

便秘になると、腸内の便が膀胱を圧迫し、頻尿、さらに骨盤底筋群の弛緩を促し、腹圧性尿失禁につながります。また、排尿反射が起こりにくく、排尿困難をきたします。よって、下部尿路機能障害(LUTD)を訴える患者さんに接する時には、便秘の存在を念頭に入れておくことも必要です。

便秘の原因は、薬剤の影響などさまざまです。非活動的な生活も、腸の働きをにぶくさせるため便秘の原因となります。

IMG_20160524_4①ベッド上での足の屈伸運動やからだのねじり運動などによって腸の動きを促すことから始め、全身の活動性を高めていくような運動を徐々に増やしていくとよいでしょう。

②食物繊維の多い食品をとるとともに、肥満を防ぐことが大切です。例えば、有酸素運動である「骨盤底筋群体操」を生活習慣の中に取り入れて、毎日行うとよいでしょう。

③慢性的な便秘の場合には、安易に下剤を使わず、宿便や直腸周囲の硬便をまず摘便しましょう。肛門刺激になるとともに、怒責(腹圧をかけること)しやすくなり、便の通りも良くなります(浣腸は摘便をした後の方が効果的です)。

④朝、起床時に水分(水やお茶など)を100~150ml飲むことによって、便秘の予防になります。

⑤便秘に対する薬剤としては、便を柔らかくする酸化マグネシウム、大腸の運動を活発にするセンノシド、ピコスルファートナトリウムなどがあります。

関連記事

・排尿管理のポイント(2)

排泄用具を有効に活用するポイント

どんな用具でも、試行錯誤しながら使い方のコツをマスターしていくことが大切です。

ここでは、生活の質を高めるために知っておきたい介護の知恵を紹介します。

衣服着脱は、あせらず動作をマスターして

排泄ケアの自立支援において、思ったより難しいのが衣服の着脱です。コツをつかんでゆとりのある時間帯から始めましょう。

IMG_20160517_0001

便利な用具で介護負担の軽減を

IMG_20160517_0002

排泄関連用具の給付・貸与制度について

高齢者や障害をもった方の排泄の自立を支援し、介護者の負担を軽減することで毎日の生活が少しでもゆとりあるものになるよう、公的な給付制度を積極的に活用したいものです。

主な制度として介護保険制度に基づく福祉用具の貸与や購入費の支給、障害者自立支援法に基づく日常生活用具給付制度などがあります。各制度によってその内容や手続きの仕方が異なりますので、居住地の市区町村の相談窓口や地域包括支援センターなどにお問合せ下さい。

IMG_20160517_3

※この表の用具は、「ADLレベルに応じた排泄関連用具の選び方」でご紹介した用具を中心にまとめたもので、制度上利用できる用具全てを表示しているわけではありません。制度内容は2008年4月に制定された内容ですので、その後に変更されることがあります。

ADL関連記事

知っておきたいオシッコの話<ADLの低下>
知っておきたいオシッコの話<高齢者の自立支援>
ADLレベルに応じた排泄関連用具の選び方(1)
ADLレベルに応じた排泄関連用具の選び方(2)
ADLレベルに応じた排泄関連用具の選び方(3)