タグ別アーカイブ: 牛乳

防ごう!生活習慣病!

これまで5回に渡って5つのテーマで生活習慣病予防に牛乳・乳製品が大切であることをご紹介してきました。

  1. 実践!シニアの健康食生活
    https://www.kagu-uro.or.jp/men/150915milk/
  2. 高血圧 予防と改善のために
    https://www.kagu-uro.or.jp/men/150922milk/
  3. ロコモ 予防と改善のために
    https://www.kagu-uro.or.jp/men/150930locomo/
  4. メタボ 予防と改善のために
    https://www.kagu-uro.or.jp/men/151005milk/
  5. 睡眠 質のよい眠りのために
    https://www.kagu-uro.or.jp/men/151013sleep/

 

今回はシリーズのまとめとして、北海道医師会常任理事 地域保健部長の後藤 聰先生のアドバイスをご紹介させていただきます。

食生活に牛乳・乳製品を取り入れて、生涯元気を目指し、よりよい生活習慣への改善を。

日本人の平均寿命は、男性80.21歳女性86.61歳(2013年)で世界トップクラス。一方、元気で自立した生活できる期間を指す「健康寿命」は、男性71.19歳女性74.21歳(同年)。この差は、高齢者が平均して9~12年以上もの期間、寝たきりなどの介護が必要な状態で過ごしていることを意味します。
 この冊子で取り上げた高血圧、ロモコ、メタボ、睡眠の問題は、いずれも健康寿命を縮める要因となり、高齢期の生活の質に影響を及ぼします。健康づくりの三本柱は、運動・栄養・休養です。1日10分身体活動を増やす、毎日牛乳を飲む、質のよい睡眠をとるなどの心がけを積み重ね、生活習慣病を予防し、生涯健康を目指しましょう。

6990d4d2f0a821bacb58ebd2290e041b_s

 バランスの良い食生活に組み入れたい牛乳・乳製品は、60代の1日当たり摂取量が約103g(2012年国民健康・栄養調査)で、牛乳換算コップ半分ほど。これでは、骨粗しょう症の予防に大切なカルシウムなどの栄養素が不足するのは当然です。最近、牛乳・乳製品が持つ健康づくり機能(三次機能)の科学的解明も進んでいるようです。少なくとも毎日コップ1杯の牛乳を飲み、牛乳のチカラを健康づくりに生かしてはいかがでしょう。

1dc60805e90f2caa24e96f46cf8fc411_s

睡眠 質のよい眠りのために

よい睡眠は、生活習慣病予防に

複数の研究から、睡眠時間の短さや不眠が、肥満、高血圧、糖尿病、循環器疾患、メタボなどの発症リスクを高めることが示唆されています。睡眠の不調が、食事や運動などの生活習慣の乱れにつながり、食欲やエネルギーバランスに作用するホルモンに影響を及ぼすためとみられています。睡眠の問題を解決し、よい睡眠習慣を身に付けることで、生活習慣病の発症と重症化を予防できる可能性があります。

シニア世代のよい睡眠のポイント

睡眠時間は加齢とともに短くなることが多くの疫学研究で分かり、65歳では正味6時間程度(20代に比べて約1時間短い)になるという統計データもあります。長い時間眠ろうとして、寝床で必要以上に長く過ごすと、眠りが浅い、夜中に目覚めやすい、熟睡感が損なわれるなどの不調を来しやすいと指摘されています。日中に眠気がなければ、短くても睡眠時間は足りていると判断し、寝床で過ごす時間の適正化を図りましょう。また、日本人高齢者を対象にした調査研究で、週5日以上の身体活動が不眠の発生を抑制するこ
とが示されています。

心身ともにリラックスして安眠への準備を

91073ca76fc6633073be7d6bee093b96_m
就寝前(0.5~6時間前)の入浴は心身をリラックスさせ、入浴による体温変化が寝つきをよくする、深い眠りを増やすなどの安眠作用をもたらすといわれます。お湯はぬるめの40℃くらいが適温です。

そのほか、就寝前に自分に合った方法でリラックスする時間を持ち、緊張を解くことで、スムーズな入眠が訪れやすくなります。

参考文献「健康づくりの睡眠指針2014」(厚生労働省)

知ってる?牛乳の力

牛乳には、安眠に作用する栄養素がたっぷり

IMG_20151013_01必須アミノ酸の一つ「トリプトファン」は、幸福感や癒しの感覚を生むとされる脳内物質「セロトニン」の材料となり、さらにセロトニンは夜になると睡眠導入作用のある「メラトニン」というホルモンに変化します。

この流れの最初に登場するトリプトファンは、体内で生成できず、毎日の食事から取り込む必要があります。トリプトファンを比較的多く含み、セロトニンの合成に必要なビタミンB6やマグネシウムも一緒にとれるのが牛乳です。

加えて牛乳には、天然の精神安定剤といわれ、イライラや興奮を鎮めるカルシウムもたっぷり。おやすみ前は、人肌に温めたホットミルクがおすすめです。胃の負担や刺激も少なく、体を内側から温めて、眠りに入りやすい状態にしてくれます。

メタボ 予防と改善のために

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)

内臓脂肪の蓄積から、さまざまな疾患が

メタボは、おなか周りの内臓脂肪が過剰に蓄積し、高血圧、高血糖、脂質異常の2つ以上を併せ持った状態を指します。内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から健康に不都合な生理活性物質(血圧値・血糖値・中性脂肪値などを上昇させる)が多く分泌され、健康によい働きをする生理活性物質(血管を修復する、糖代謝を改善する)の分泌が減ります。その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常性を併発し、動脈硬化が進んで心筋梗塞脳梗塞などを起こすリスクが飛躍的に高くなります。

IMG_20151005_4-1

 

特定保健指導で2~4割の人が改善

特定健診でメタボ該当または予備群と判断された人は、特定保健指導の対象となり、リスクの数が多い人には積極的支援を受けた男性から約2~3割、女性の約3~4割が、1年後の健診ではメタボから脱出するなどの改善状況が報告されています。年1回の特定健診をしっかり受診することから、メタボ対策を始めましょう。

 

1日プラス10分の身体活動を

メタボの予防と改善は、身体活動量の増加から。厚生労働省「アクティブガイド(健康づくりのための身体活動指針)」では、今より1日10分近く多く体を動かし、65歳以上の人は毎日40分程度の身体活動(家事などの生活活動および運動)を行うよう目標を明示しています。毎日ラジオ体操したり、庭仕事を楽しんだり、近所へは歩いて買い物に出かけるなど、意識して体を動かす習慣をつけましょう。

IMG_20150915_0004-2

 

知ってる?牛乳の力

牛乳を良く飲む人には、メタボが少ない

栄養価の高い牛乳・乳製品を常用すると、太るのでは―。

最近の大規模研究調査で、そんな牛乳・乳製品に対する誤ったイメージが覆されました。

牛乳・乳製品を最もよくとるグループは、最も摂取しないグループに比べて、メタボの有病率が女性で40%、男性で20%も低く、さらに女性の場合、肥満指数のBMIや中性脂肪値が低くなる傾向も認められました。そのメカニズムとして、牛乳・乳製品がエネルギー消費量の増加に寄与する、豊富なカルシウムが脂肪分解を促進するなどの仮説が立てられています。

milk

コレステロールも気になりますが、一般的な日本人が1日の食事で摂取する量は300~500mgで、牛乳コップ1杯(200ml)に含まれる量は25mg。牛乳自体が、コレステロール値上昇の主因になることは考えにくいといえます。

IMG_20150915_4-3