【医師監修】頻尿に隠された病気のサインとは?チェック方法・受診の目安を解説

頻繁にトイレに行くたびに、「もしかしたら何か隠れた病気が潜んでいるのではないか…」と不安に感じていませんか?

日常生活で頻尿に悩まされているあなたは、その原因が単なる生活習慣によるものなのか、あるいは深刻な病気のサインなのかを知りたいと思っているかもしれません。

この記事では、頻尿が示す可能性のある病気、自宅でできるチェック方法、そして医療機関を受診する目安について、医師監修のもと詳しく解説します。

この記事を読むことで、あなたは頻尿が病気のサインかどうかを判断し、必要に応じて適切な対処(病院受診や生活改善)ができるようになるでしょう。

頻尿とは?定義と正常な排尿回数

一般的に、日中の排尿が8回以上、夜間に2回以上ある場合は頻尿の可能性があります。

ちなみに、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうのが尿失禁です。

実は、頻尿で悩む方は全国で200万人以上、ほぼ毎日尿失禁で困っている方も80万人以上いると言われています。

特に女性では、4人に1人が尿失禁を経験し、出産経験のある女性ではその割合が4割に達するという報告もあります。

しかし、日常生活に支障が出ているにもかかわらず、「恥ずかしい」「歳のせいだから」と諦め、医療機関を受診している方はわずか数パーセントに過ぎません。

ですが、どうか諦めないでください。尿失禁は約80%が治療またはコントロールできると言われています。頻尿の裏に病気が隠れている可能性もあります。

頻尿の原因のひとつ「過活動膀胱」とは?

過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)は、国際尿禁制学会によって定義された「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿と夜間頻尿を伴うものであり、切迫性尿失禁は必須ではない」状態を指します。

つまり、過活動膀胱の中核となる症状は、突然起こる抑えきれないような強い尿意(尿意切迫感)です。

この尿意切迫感に伴って、頻尿や夜間頻尿が生じることが多いですが、必ずしもそうであるとは限りません。また、尿意切迫感があっても、尿漏れ(切迫性尿失禁)を伴わない場合もあります。

頻尿との関係性

過活動膀胱は、頻尿の原因の一つとなり得ます。

膀胱が過敏になり、意図しない膀胱の収縮が頻繁に起こることで、結果として排尿回数が増加します。

したがって、頻尿の症状を訴える患者さんの中には、その原因が過活動膀胱である方が多く含まれます。

しかし、頻尿の原因が必ずしも過活動膀胱であるとは限りません。例えば、水分をたくさん飲んだために排尿回数が増えた場合や、膀胱炎によって排尿回数が増えた場合は、過活動膀胱とは言えません。

頻尿がサイン?病気の可能性について

頻尿の背後には、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。ここでは、頻尿がサインとなる代表的な病気をいくつかご紹介します。

①前立腺肥大症(男性)

前立腺肥大症は60歳代で6%、70歳代では12%の方にみられるようになり、日本では133万人の方が治療を受けているといわれています。

前立腺とは男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下にあり尿道をドーナツ状に取り囲んでいます。

正常な前立腺は栗の実くらいの大きさで重さは成人の男性で20g前後です。前立腺では精液の一部である前立腺液を作っていますがその他の働きについてはまだ完全にはわかっていません。

前立腺は年齢を重ねるにつれて大きくなってきます。しかし前立腺が大きくなりすぎると、尿道が圧迫されオシッコが出にくくなったり、頻繁にトイレに行きたくなるなどの症状が現れます。

前立腺肥大症を放っておくと尿閉という全くオシッコが出せなくなる危険な状態になる場合もあります。

▶関連記事:「前立腺肥大症の治療法を3種類解説します」

②膀胱炎

膀胱炎は、尿を貯める袋状の臓器である膀胱の粘膜に炎症が生じる病気で、排尿時の頻尿、痛み、残尿感といった不快な症状を伴います。

日常でよく見られる膀胱炎のほとんどは、細菌感染による「急性単純性膀胱炎(急性膀胱炎)」です。

この急性膀胱炎は、性別や年齢に関わらず誰にでも起こりうる病気ですが、特に女性に多く、生涯で約2人に1人が経験すると言われています。また、再発を繰り返しやすいのも特徴です。

主な原因は、腸内や肛門周辺に存在する大腸菌などの細菌が、尿道を通って膀胱内に侵入し、粘膜に炎症を引き起こすことです。

細菌が膀胱に侵入するきっかけは様々で、比較的若い女性にも多く見られます。

しかし、膀胱に細菌が侵入しただけで必ず膀胱炎になるわけではありません。私たちの体には、侵入した細菌を尿と共に排出する自浄作用が備わっています。

ところが、排尿を我慢する習慣、すぐにトイレに行けない環境、水分摂取不足による尿量減少などは、この自浄作用を弱めます。その結果、膀胱内で細菌が増殖し、炎症を引き起こしやすくなります。

さらに、睡眠不足やストレス、疲労、生理による免疫力の低下も、急性膀胱炎の発症リスクを高めます。健康な生活習慣を心がけ、免疫力を維持することが、膀胱炎の予防につながります。

③糖尿病

糖尿病は、血糖値をコントロールするインスリンの作用が不十分となり、血液中のブドウ糖濃度が異常に上昇する病気です。インスリンは、食事から摂取した糖や肝臓で生成された糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用するために不可欠なホルモンです。

糖尿病になると、インスリンの分泌量が不足する(インスリン分泌低下)か、インスリンが正常に分泌されていても細胞がその作用に反応しにくくなる(インスリン抵抗性)状態に陥ります。

これらの要因により、血液中のブドウ糖が慢性的に高い状態、すなわち高血糖が続くことになります。

血液中に過剰なブドウ糖が存在するため、身体はそれを排出しようとします。高濃度のブドウ糖は血液を濃縮させるため、身体は水分を求めて血液を希釈しようとします。

これは、血液がドロドロの状態になるのを防ぎ、脳梗塞などの血管が詰まる病気のリスクを減らすための自然な反応です。

その結果、水分摂取量が増加し、尿量も増加します(多尿)。一般的に、1日の尿量が3リットル以上になる場合を多尿と呼びます。糖尿病が進行するにつれて多尿の程度も強くなり、特に夜間の排尿回数が増える(夜間頻尿)ことも多くなります。

また、血糖値が高い状態が続くと、腎臓で処理しきれなくなったブドウ糖が尿中に排泄されるようになります。尿中に糖分が含まれることも、尿の浸透圧を高め、水分をより多く引き出す要因となり、頻尿を悪化させる可能性があります。

④更年期障害(女性)

更年期は閉経前後の約10年間を指し、日本女性の平均閉経年齢から考えると、40代後半から始まることが多いです。

女性は男性に比べ尿道が短く、骨盤底筋群も弱い傾向にあります。閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲンなど)の減少は、骨盤底筋をさらに緩ませます。

更年期障害の症状として頻尿や尿漏れが見られることがありますが、その背景には加齢による骨盤底筋や尿道括約筋の衰えがあります。

また、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の不安定も、膀胱の過敏な収縮を引き起こし、頻尿や尿漏れにつながることがあります。さらに、尿道や膀胱の神経機能の低下も、排尿のコントロールに影響を与える場合があります。

頻尿に隠された病気がある?セルフチェック

ご自身の頻尿が、生活習慣によるものなのか、あるいは病気のサインである可能性が高いのかを見極めるために、以下の項目をチェックしてみましょう。

生活習慣によるものか病気かの見極め

  • 最近、水分摂取量が極端に増えた
  • 利尿作用のある飲み物(カフェイン、アルコールなど)を多く摂取している
  • 寒い環境にいることが多い
  • ストレスを感じやすい状況が続いている
  • 排尿時に痛みがある
  • 尿が濁っている、または血が混じっている
  • 残尿感がある
  • 急に我慢できないほどの尿意を感じることがある
  • 以前に膀胱炎や尿路結石などを患ったことがある

これらの項目に複数当てはまる場合は、生活習慣の改善や、念のため医療機関を受診して相談することをおすすめします。特に、排尿時の痛みや血尿などがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

夜間頻尿のセルフチェック

夜間に何度もトイレに起きることは、睡眠不足につながり、生活の質を大きく低下させる可能性があります。以下の項目をチェックしてみましょう。

  • 夜寝る前に水分を多く摂る習慣がある
  • 寝る直前にカフェインやアルコールを摂取することが多い
  • 日中、足のむくみが気になる
  • 高血圧や心臓病の治療を受けている
  • 睡眠時無呼吸症候群と診断されたことがある

頻尿のトラブル|受診すべきタイミングと診療科

頻尿が続く場合や、以下のような症状を伴う場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

まずは泌尿器科を受診しましょう。泌尿器科では、尿検査や超音波検査などを行い、頻尿の原因を特定し、適切な治療を行ってくれます。

女性の場合は、婦人科が原因となっている可能性もあるため、婦人科への相談も選択肢の一つです。

受診する際には、以下の情報を医師に伝えるようにしましょう。

  • いつから頻尿の症状があるか
  • 1日の排尿回数、特に夜間の排尿回数
  • 尿意を感じる時の状況(急か、我慢できるかなど)
  • 排尿時の痛みや残尿感の有無
  • 飲んでいる薬や既往歴
  • 日頃の水分摂取量や生活習慣

これらの情報を伝えることで、医師はより正確な診断と適切な治療を行うことができます。

頻尿は、生活の質を大きく左右するだけでなく、重大な病気のサインである可能性もあります。

「たかが頻尿」と安易に考えず、気になる症状があれば早めに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。また、日頃から生活習慣を見直し、頻尿の予防に努めることも重要です。

▶関連記事:「泌尿器科院長直々に「頻尿の治療方法」を紹介!おしっこに悩む方は必見です」

聞きにくいことは「メール無料相談」

北海道旭川市にある神楽岡泌尿器科は、「排尿のかかりつけ医」になることを目指し、患者本位で、気軽に緊張せずに受診していただける病院づくりを目指しています。

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