頻尿は糖尿病のサイン?尿の回数が増える原因と見分け方を徹底解説

「トイレ回数が増えると糖尿病の疑いがある」というのは、あなたもよく耳にすると思います。

トイレ回数の増加とは、つまり「頻尿」です。頻尿になると、「どうしちゃったのかな」「身体に何らかの異常があるのかな」と不安になることでしょう。

この記事では、頻尿の原因の一つとして注目される糖尿病に着目し、そのメカニズムを分かりやすく解説します。高血糖がどのように頻尿を引き起こすのか、そして、頻尿と多尿の違い、糖尿病による頻尿特有の症状とは何かを掘り下げていきます。

さらに、頻尿は糖尿病だけのサインではありません。過活動膀胱や前立腺肥大、ストレスや生活習慣など、他の原因との見分け方も丁寧に解説します。

頻尿と糖尿病の関係

糖尿病による頻尿は、主に二つのメカニズムによって引き起こされます。一つは高血糖そのものの影響、もう一つは排尿をコントロールする神経系の障害です。

①高血糖による水分摂取量の増加と多尿

糖尿病で血糖値が慢性的に高くなると、身体は血液中の過剰なブドウ糖濃度を下げようとします。

高濃度のブドウ糖は血液の浸透圧を高めるため、身体は水分を求めて血液を希釈しようとするのです。

これは、血液がドロドロの状態になり、血流が悪化することで引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞といった重大な合併症のリスクを回避するための、身体の自然な防御反応と言えます。

その結果、糖尿病の方は無意識のうちに多くの水を飲むようになり(多飲)、それに伴い尿の量も増加します(多尿)。

尿量が増加すれば、必然的に排尿の回数も増え、頻尿という症状が現れるのです。

②糖尿病性神経障害による排尿機能の異常

糖尿病が長期間にわたり進行すると、血管だけでなく神経にも悪影響を及ぼすことがあります。

特に、末梢神経が障害される糖尿病性神経障害は、足先のしびれや痛みといった感覚異常だけでなく、自律神経系の機能にも影響を与える可能性があります。

排尿は、膀胱の筋肉の収縮と尿道の括約筋の弛緩が神経系の精密なコントロールによって行われています。

糖尿病によってこれらの排尿に関わる末梢神経が障害を受けると、膀胱の収縮や尿意の伝達が正常に行われなくなることがあります。

その結果、膀胱に十分な尿が溜まる前に急な尿意を感じたり、頻繁にトイレに行きたくなったりする頻尿の症状が現れることがあります。

このように、糖尿病による頻尿は、高血糖による直接的な影響と、神経障害による間接的な影響という、異なる二つの側面から生じることが理解できます。

頻尿は、糖尿病の重要なサインの一つである可能性があり、血糖コントロールの状態や神経障害の進行を示唆する場合があります。そのため、頻尿の症状が見られた場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と管理を受けることが大切です。

③夜間頻尿は糖尿病のサインか

夜間に何度もトイレに起きる夜間頻尿は、糖尿病の初期症状の一つである可能性があります。

高血糖による多尿は、昼夜問わず起こりますが、睡眠中に何度も尿意を感じて起きる場合は、糖尿病を含めた何らかの病気が潜んでいる可能性を考慮する必要があります。

2、糖尿病による頻尿の特徴

糖尿病による頻尿には、いくつかの特徴が見られることがあります。

糖尿病による多尿の場合、尿の量は全体的に増加します。尿の色は通常、薄い黄色から透明に近い色を呈することが多いです。

また、血糖値が高い状態が続くと、尿に糖分が混じることがあり、わずかに甘いにおいがすることがあります。ただし、これらの特徴だけで糖尿病と断定することはできません。

頻尿と多尿の違いは?

頻尿とは、日中の排尿回数が8回以上、または夜間に2回以上トイレに起きる状態を指します。ただし、排尿回数は個人差が大きいため、以前と比較して回数が増えたと感じるかどうかが重要です。

頻尿と混同されやすいのが多尿です。

頻尿は排尿回数が多いものの、1回あたりの尿量は少なく、1日の尿量も正常範囲内であることが一般的です。

多尿は1日の尿量が3リットル以上と明らかに多い状態を指し、夜間の排尿も伴うことがあります。夜間の排尿は多尿の初期症状である可能性もあるため、気になる場合は相談しましょう。

3、糖尿病以外にも頻尿となるケース

頻尿は、糖尿病以外にも様々な原因で起こります。他の病気や状態と糖尿病による頻尿の違いを知っておくことは、適切な判断をする上で重要です。

①過活動膀胱・前立腺肥大による頻尿

過活動膀胱は、急な尿意(尿意切迫感)を主な症状とし、頻尿や夜間頻尿を伴うことがあります。糖尿病による頻尿との違いは、尿意切迫感が強く、必ずしも尿量が多いとは限らない点です。

前立腺肥大は、男性特有の病気で、前立腺が肥大することで尿道を圧迫し、排尿困難や頻尿を引き起こします。特に排尿の勢いが弱い、残尿感があるといった症状を伴う場合、糖尿病よりも前立腺の病気の可能性が考えられます。

②ストレスや生活習慣による頻尿

ストレスや過剰な水分摂取、カフェインやアルコールの摂取なども頻尿の原因となることがあります。これらの場合は、一時的なものであったり、原因を取り除くことで改善が見られたりすることが多いです。

糖尿病による頻尿は、持続的に起こりやすく、生活習慣の改善だけでは根本的な解決には至りません。

4、糖尿病の初期症状チェックリスト

糖尿病の初期症状は、気づきにくいものもありますが、以下のような症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

慢性的なかすみ目

異常な喉の渇き、水分をたくさん飲む

頻繁な立ちくらみ、めまい

痒みや乾燥

倦怠感、疲れやすい

しびれ、冷え、むくみ

トイレの回数が多い(頻尿・多尿)、尿に甘い臭いがする

原因不明の体重減少、または急な体重増加

これらの症状が一つでも気になる場合は、自己判断せずに医師に相談することが大切です。早期発見と適切な治療が、糖尿病の進行を防ぐ上で重要となります。

5、糖尿病が疑われるときの対応

もし、頻尿の症状があり、上記のチェックリストに当てはまる項目が複数ある場合は、糖尿病の可能性を考慮して医療機関を受診しましょう。

何科を受診する?

最初に受診するべきは、内科、特に糖尿病内科です。糖尿病専門医がいる医療機関であれば、より専門的な診断と治療を受けることができます。

検査内容と費用の目安

糖尿病の診断には、主に以下のような検査が行われます。

  • 血糖値検査(空腹時血糖、随時血糖、HbA1c): 血液中のブドウ糖の濃度を測定します。HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映します。
  • 尿検査: 尿中に糖や蛋白が出ていないかなどを調べます。
  • ブドウ糖負荷試験(OGTT): 血糖値の変動を詳しく調べる検査です。

検査費用は、保険適用となる場合、数千円程度が目安となります。ただし、医療機関や検査項目によって費用は異なります。

6、糖尿病予防と生活習慣改善のポイント

糖尿病による頻尿を防ぐためには、血糖値を適切にコントロールすることが最も重要です。そのためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。

食生活の工夫

  • バランスの取れた食事を心がけ、炭水化物、タンパク質、脂質を適切に摂取しましょう。
  • 食物繊維を積極的に摂り、血糖値の急激な上昇を抑えましょう。
  • 甘い飲み物や菓子類、果物の摂りすぎに注意しましょう。
  • 規則正しい時間に食事を摂り、食べ過ぎを防ぎましょう。

運動の工夫

  • ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を नियमित的に行い、インスリンの感受性を高めましょう。
  • 筋力トレーニングも取り入れ、基礎代謝を上げましょう。
  • 無理のない範囲で、継続することが大切です。

尿の記録と自己観察のすすめ

日々の排尿回数や尿の量を記録することで、頻尿の状態を客観的に把握することができます。また、尿の色やにおいの変化、その他の症状(喉の渇き、体重の変化など)も記録しておくと、医師に相談する際に役立ちます。

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