前立腺肥大症と尿閉の関係!メカニズムと対策を医師が解説

50代を過ぎると、男性の多くが経験する前立腺肥大症。

頻尿や残尿感といった症状に悩まされる方が多いですが、中には突然尿が出なくなる「尿閉」という深刻な事態に陥る方もいます。

今回は、前立腺肥大症と尿閉の関係、そして尿閉が体に与える影響について詳しく解説します。

前立腺肥大症で尿閉が起こるメカニズム

前立腺肥大症と尿閉:それぞれの症状と関係性

前立腺肥大症は、加齢とともに男性の前立腺が大きくなる病気です。大きくなった前立腺が尿道(尿の通り道)を圧迫し、以下のような排尿障害を引き起こします。

  • 頻尿:何度もトイレに行きたくなる
  • 残尿感:排尿後も尿が残っている感じがする
  • 排尿困難:尿が出にくい、時間がかかる

尿閉とは、これらの症状が悪化し、尿が全く出なくなる状態です。前立腺肥大症の場合、肥大した前立腺が尿道を物理的に塞いでしまうことが主な原因です。

なぜ尿が出なくなる?尿閉のメカニズム

前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲んでいます。前立腺肥大症になると、この前立腺が大きくなり尿道を圧迫します。

尿道が圧迫されると、膀胱から尿を押し出す力が弱まり尿が出にくくなります。さらに前立腺が肥大し続けると、尿道が完全に塞がれ尿閉の状態に陥ります。

前立腺肥大症による尿閉が続くと体にどんな影響があるか

尿閉は、一時的な排尿困難とは異なり、尿が全く出なくなる深刻な状態です。特に前立腺肥大症による尿閉は、放置すると様々な合併症を引き起こし、日常生活に支障をきたす原因となります。

膀胱への影響

尿閉が続くと、膀胱内に尿が過剰に溜まり、膀胱が拡張します。膀胱内の圧力上昇により、尿が腎臓に逆流し、腎臓にダメージを与えることもあります。

腎臓への影響

尿閉により尿が体内に滞留すると、腎臓への圧力が高まり、腎機能が低下します。腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。腎機能が低下すると、老廃物が体内に蓄積され、様々な合併症にもつながります。

日常生活への影響

尿閉は、排尿時の痛みや残尿感、頻尿などの症状を引き起こし、日常生活の質を著しく低下させます。また、睡眠不足や精神的なストレスの原因にもなります。

前立腺肥大症で尿閉になった時の治療法

前立腺肥大症による尿閉は、自然に治ることはなく、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、迅速な治療が必要です。治療法は、尿閉の状態や前立腺肥大症の進行度合いによって異なります。

緊急処置:尿道カテーテル

尿閉になった場合、まず尿道に細い管(尿道カテーテル)を挿入し、膀胱内に溜まった尿を排出します。この処置は、医療機関で速やかに行われます。尿道カテーテルは、尿閉を一時的に解消し、腎臓や膀胱への負担を軽減するための緊急的な処置です。

薬物療法

尿閉が解消された後は、前立腺肥大症の症状を改善するための薬物療法が行われます。

  • α1遮断薬:前立腺や膀胱の出口の筋肉を緩め、尿を出しやすくする薬です。効果が現れるのが早く、症状の改善に効果的です。
  • 5α還元酵素阻害薬:男性ホルモンの働きを抑え、前立腺の肥大を抑制する薬です。効果が現れるまでに時間がかかりますが、長期的な治療に有効です。
  • 抗コリン薬:膀胱の過剰な収縮を抑え、頻尿や尿意切迫感を改善する薬です。

これらの薬剤は、単独で使用されることもありますが、組み合わせて使用されることもあります。

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前立腺肥大症の手術療法

薬物療法で効果が不十分な場合や、尿閉を繰り返す場合は、手術療法が検討されます。

前立腺肥大症の手術療法
  • TURP(経尿道的前立腺切除術):TURPは前立腺を削り取る手術です。血液が多く出る手術であるため体への負担はやや大きい手術になります。
  • HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺蒸散術):HoLEPは前立腺そのものを体から剥がし、細かく切断しながら吸引する方法です。前立腺の外側にのみレーザーを当てるため、TURPと比べて出血が少なく、合併症のリスクも少ない手術になります。
  • WAVE(前立腺肥大水蒸気治療):WAVEは水蒸気を使い、前立腺の肥大した部分を壊死させ体に吸収させることで小さくする手術です。出血が少ない、10分程度で手術が終わるなど、体への負担が少ないことが特徴です。

手術療法は、尿閉の根本的な原因である前立腺肥大症を治療するため、長期的な症状の改善が期待できます。

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前立腺肥大症や尿閉になる前の排尿習慣トレーニング

前立腺肥大症には、気持ちいい排尿習慣、つまり「快感おしっこ」を身につけることが大切です。

快感おしっことは、いきまず自然に奔流させる気持ちのいいおしっこのことをいいます。

まずは、適当な水分補給でおしっこをしっかりと溜めましょう。目安としては、1日2リットルの水分摂取が理想です。

水分摂取が大事な理由は、腎臓機能を助け、尿管→膀胱→尿道と続く尿路の健康を保つためです。

そして、尿意を感じたとき漏れたら困るから早くおしっこに行くのではなく、少し止めておこうという意識をもって、無理なく少し我慢してみましょう。

この時お腹にグッと力を入れて我慢するのではなく、肛門と尿道をきゅっと閉めて普通に深呼吸しているのが正しい体勢です。

たっぷりとおしっこを溜めることができたら、あとは「いきまない」で一気に排泄します。

いきまないリラックスしたおしっこをすることが気持ちいい排尿習慣への第一歩です。

まとめ

前立腺肥大症による尿閉は、適切な治療を受ければ、多くの場合、改善が期待できます。

しかし、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。

尿閉の症状が現れた場合は、速やかに泌尿器科を受診し、医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。

当院では、神楽岡泌尿器科では前立腺のお悩みに関して、院長の渋谷先生に直通のメール相談が可能です。今回の記事で気になる点や、ご自身の症状に不安を感じる方はお気軽にご相談ください。

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