
「最近、夜中に何度もトイレに起きるようになった…」 「ネットで調べたら『膀胱癌』と出てきて不安…」50代〜70代になり、夜間の頻尿にお悩みの方の中には、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、「夜間頻尿=膀胱癌」ではありません。
この記事では、夜間頻尿の主な原因と、膀胱癌の可能性がある要注意なサイン、そして泌尿器科で行う検査や治療について専門医が詳しく解説します。
夜間頻尿の原因は「膀胱癌」の可能性もあるの?
夜中に何度もトイレに起きてしまう「夜間頻尿」。その原因は多岐にわたります。
多くの原因は「前立腺肥大症」「過活動膀胱」などの良性疾患
50代〜70代の男性における夜間頻尿の最も多い原因は、膀胱癌ではなく良性の疾患です。代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 【前立腺肥大症】: 加齢とともに前立腺が大きくなり、尿道を圧迫したり膀胱を刺激したりすることで頻尿を引き起こします。男性特有の疾患です。
- 【過活動膀胱】: 膀胱が過敏になり、尿が少ししか溜まっていないのに勝手に収縮してしまう状態です。
- 【夜間多尿】: 加齢によるホルモンバランスの変化や、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが原因で、夜間に作られる尿量自体が増えてしまう状態です。
これらは命に関わる病気ではありませんが、放置すると睡眠不足になり、生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。
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注意!「上皮内癌(CIS)」は血尿が出ず、頻尿が先行することも
膀胱癌の最も典型的な初期症状は「痛みのない血尿(無症候性肉眼的血尿)」です。しかし、血尿が目視で出ていないからといって、膀胱癌の可能性がゼロとは言い切れません。
膀胱癌の中には「上皮内癌(CIS:Carcinoma in situ)」と呼ばれるタイプがあります。これは、膀胱の粘膜の表面に沿って平たく広がる癌です。このタイプは、初期段階では肉眼でわかる血尿が出にくく、代わりに頻尿や排尿時の痛みなど、膀胱炎に似た症状が先行することがあります。
「なかなか治らない膀胱炎だと思っていたら、実は上皮内癌だった」というケースも存在するため、症状が長引く場合は注意が必要です。
膀胱癌が疑われる「要注意な夜間頻尿」のサイン

単なる加齢や前立腺肥大症による頻尿なのか、それとも膀胱癌などの重篤な病気が隠れているのか。以下のサインに当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
排尿時の痛みや残尿感の有無について
夜間頻尿に加えて、以下のような症状を伴う場合は、膀胱や尿道に何らかの炎症や異常が起きている可能性があります。
- 【排尿痛】: おしっこをする時、または終わりにツーンとした痛みがある。
- 【残尿感】: おしっこを出したはずなのに、まだ残っているようなスッキリしない感じがある。
- 【尿意切迫感】: 急に我慢できないような強い尿意に襲われる。
これらの症状は、前立腺肥大症や細菌性の膀胱炎でも起こりますが、先述した「上皮内癌」の特徴的な症状である可能性もあります。
肉眼で見えない「顕微鏡的血尿」が隠れているケースも
ご自身では「おしっこの色は普通だ」と思っていても、目には見えない微量の血液が尿に混じっている「顕微鏡的血尿」が隠れている可能性があります。
これは健康診断の尿検査などで「尿潜血(+)」と指摘されて初めて気づくことがほとんどです。顕微鏡的血尿の背後には、膀胱癌や尿路結石などの病気が隠れている可能性があるため、泌尿器科での詳しい検査が必要となります。
膀胱癌が見つかった場合は早期なら「お腹を切らずに」治療できる

万が一、検査で膀胱癌が見つかってしまったら…。目の前が真っ暗になるかもしれません。しかし、膀胱癌は早期に発見できれば、決して怖い病気ではありません。
当院で行う「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」とは
膀胱癌の多くは、膀胱の表面の粘膜にとどまっている「筋層非浸潤性膀胱癌」という早期の状態で発見されます。
この段階であれば、お腹を切る開腹手術は必要ありません。 尿道から内視鏡(細い管)を入れ、先端についている電気メスで腫瘍を削り取る「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」という手術で治療が可能です。体への負担が少なく、術後の回復も比較的早いのが特徴です。
詳しくはこちらの記事からご確認ください。
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まとめ
夜間頻尿の多くは「前立腺肥大症」や「過活動膀胱」などの良性疾患が原因ですが、血尿が出ていなくても「上皮内癌」のような膀胱癌が隠れている可能性があります。
「ただの加齢だろう」と放置せず、夜間のトイレ回数が増えたり、排尿時に違和感を覚えたりした場合は、一人で悩まずに早めに泌尿器科を受診しましょう。早期発見・早期治療が、安心と健康的な毎日を取り戻す第一歩です。
聞きにくいことは「メール無料相談」で承ります

北海道旭川市にある神楽岡泌尿器科は、「かかりつけ医」になることを目指し、患者本位で、気軽に緊張せずに受診していただける病院づくりを目指しています。
「血尿が出て悩んでいる」という方は、院長による無料メール相談も行っておりますので、まずはお気軽に疑問点や懸念内容をご相談ください。
病院まで来られない方々にも往診で対応可能です。患者さんご本人だけでは無くご家族の方々からのご相談にもお答えします。
▶子どもが大好きな渋谷院長先生はどんな人?

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など



