
毎年のように行われる学校の尿検査。「明日の朝、必ず寝起きのおしっこをとってね」とお子様に伝えても、朝の忙しい時間帯にはトラブルがつきものです。
「子どもが夜中にトイレへ行ってしまった」「うっかり朝ごはんを食べた後に採尿してしまった」など、思い通りにいかずに焦ってしまった経験を持つご家族の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、尿検査で寝起きの尿が必要な理由や、採尿を失敗してしまった時の具体的な対処法についてわかりやすく解説します。
学校の尿検査で「寝起きの尿(早朝尿)」を指定される理由

学校から配られる尿検査のプリントには、必ずと言っていいほど「朝起きてすぐの尿(早朝尿)をとりましょう」と書かれています。日中の尿ではなく、わざわざ朝一番の尿を指定するのには、正確な検査を行うための重要な医学的理由があります 。
最大の理由は「家で確実に採取させるため」
医学的な側面(起立性蛋白尿の判別など)も重要ですが、最大の理由は「学校に行く直前だとトイレの混雑や持参忘れが発生するため、家で確実に採取させるため」です。登校直前の慌ただしい時間帯や学校でのトラブルを避け、忘れずに検体を提出してもらうための最も確実なタイミングが「寝起き」なのです。
体動や食事の影響を受けていない「素の状態」を調べる
私たちが活動している日中にとった尿には、運動による筋肉の疲労物質や、直前に食べた食事の成分(糖分や塩分など)が多く混ざってしまいます。 一方、夜寝ている間は体を動かさず、飲食も行いません。
そのため、朝一番の尿を調べることで、食事や運動の影響を受けていない「お子様のありのままの体の状態」を正確に評価することができます。 病気が隠れていないかを正しく見極めるためには、体の素の状態が反映された早朝尿がもっとも適しているのです。
心配のない蛋白尿「起立性蛋白尿」と見分ける
成長期のお子様の場合、立っている時間が長かったり、背骨を反らせるような姿勢をとったりするだけで、一時的に尿へタンパク質が漏れ出る「起立性蛋白尿」という現象がよく見られます。
起立性蛋白尿は病気ではなく、成長とともに自然に治る心配のない症状です。 起立性蛋白尿の特徴は「横になって安静にしている時にはタンパク質が出ない」ことです。
朝一番の尿を調べてタンパク質が含まれていなければ、日中の尿検査で異常が出ても「起立性蛋白尿の可能性が高い」と判断できるため、朝一番の尿は非常に重要な判断基準となります。
正しく採尿できなかった時の具体的な対処法

「朝一番の尿をとるぞ」と意気込んでいても、イレギュラーな事態は起こるものです。思い通りの条件で採尿できなかった場合、どのように対応すればよいのか、よくある失敗例とともに対処法をご紹介します。
夜中にトイレへ行ってしまった場合
お子様が夜中や明け方にトイレへ行ってしまい、「朝起きた時にはおしっこが出なかった」というケースは非常に多くあります。
夜中にトイレへ行ってしまった場合は、無理に朝一番にこだわらず、学校へ行く直前など、次に尿意を催したタイミングで採尿を行ってください。 その際、尿検査の問診票や提出用の袋の備考欄などに、「深夜○時頃に排尿あり」「起床後○回目の尿」と正直に状況を書き添えておくことが大切です。
検査機関や学校の先生に状況を伝えることで、検査結果を正しく評価してもらいやすくなります。
採尿を忘れて朝ごはんを食べてしまった場合
「うっかり朝ごはんを食べた後に採尿してしまった」というご家庭も少なくありません。 朝ごはんを食べた後の尿は、食事に含まれる糖分などの影響で、尿糖の数値が一時的に高くなり、再検査の対象となってしまう可能性があります。
もし朝ごはんを食べてしまった後に採尿した場合は、夜中にトイレへ行ったケースと同様に、提出用の袋などに「朝食後に採尿」と一言書き添えて提出してください。
また、学校によっては予備の容器をもらって翌日に提出し直すことが可能な場合もありますので、担任の先生や保健室の先生に状況を相談してみることをおすすめします。
再検査になっても過度に心配する必要はない

もし採尿の条件が完璧に揃えられず、学校の尿検査で「再検査(要精密検査)」の通知をもらってしまっても、すぐに重大な病気を疑ってパニックになる必要はありません。再検査の通知が持つ意味と、受診の目安についてお伝えします。
採尿の条件によって数値が変動する場合もある
学校の尿検査は、病気を見逃さないために、ごくわずかな異常でも拾い上げる仕組みになっています。
そのため、前日の夜に激しいスポーツをしていたり、採尿の条件が少しずれていたりするだけで、一時的に数値が変動して再検査に引っかかってしまうお子様はたくさんいらっしゃいます。
再検査の通知は「病気である」と確定するものではなく、「念のため、もう一度正確に調べてみましょう」という合図に過ぎません。過度に不安がらずに、落ち着いて医療機関を受診する準備を進めましょう。
泌尿器科の精密検査について
医療機関で再検査を受ける際は、尿路(腎臓、膀胱など)の専門家である泌尿器科の受診をおすすめします。
泌尿器科では、正確な尿検査を改めて行うとともに、必要に応じておなかにゼリーを塗って機器を当てるだけの「超音波(エコー)検査」を実施します。 エコー検査は痛みが全くなく、お子様への体の負担もありません。
腎臓や膀胱の形に異常がないかを安全に確認できるため、ご家族の方にとっても安心できる検査方法です。
関連記事:小児の血尿でよくある原因と泌尿器科での痛くない検査
まとめ
学校の尿検査で「朝一番の尿」が必要な理由は、食事や運動の影響を受けていない、お子様の体の正確な状態を知るためです。 しかし、朝の忙しい時間帯に完璧な採尿を行うのは難しいこともあります。
少し条件から外れてしまっても、状況を正直に申告して提出すれば大丈夫ですので、ご家族の方だけでプレッシャーを抱え込まないようにしてください。 もし再検査になったとしても、一過性の変化であるケースも多々あります。
不安なことやご心配なことがございましたら、一人で悩まずにいつでも旭川の神楽岡泌尿器科へご相談ください。お子様とご家族の方の不安を優しく和らげるお手伝いをいたします。
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北海道旭川市にある神楽岡泌尿器科は、「かかりつけ医」になることを目指し、患者本位で、気軽に緊張せずに受診していただける病院づくりを目指しています。
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▶子どもが大好きな渋谷院長先生はどんな人?

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など



