尿路結石はどのような薬を服用する?注意点や予防法について解説します

「尿路結石は薬で治療できるって聞いたけど本当…?」

「市販で尿路結石を治療できる薬はある?」

上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

尿路結石になった場合は、手術以外の治療方法として薬の服用による自然排石があげられます。

本記事では、尿路結石の治療薬としてどのような薬を服用するのか、服用時の注意点や市販の薬について解説します。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

尿路結石はどのような薬を服用する?

尿路結石の治療を薬で行う場合は、主に下記の3つの薬を服用します。

  • 排石促進薬
  • 結石予防薬
  • 鎮痛剤

それぞれの治療薬について解説していきます。

排石促進薬

尿路結石の治療薬として、「ウロカルン」や「ハルナール®ユリーフ」などの排石促進薬を服用します。

ウロカルンは生薬の一種「ウラジロガシ」を主成分にしており、腎臓や尿細管にできた結石を促します。

また、排石だけでなく、溶解や結石の発育を予防する成分があるため、排石促進剤として服用されている薬です。

ハルナール®ユリーフは前立腺を肥大させる薬で、尿道を弛緩させて排尿しやすい環境を構築してくれます。

結石予防薬

尿路結石の治療薬として、「高尿酸血症治療薬」や「酸化マグネシウム」を結石予防薬として服用します。

たとえば高尿酸血症治療薬は、体内で作られすぎてしまう尿酸値を下げる役目を担ってくれます。

また、酸化マグネシウムは尿路結石の原因にもなるシュウ酸カルシウムと結合してくれるため、予防と排石を促す効果が期待できるでしょう。

ただし結石予防薬を服用しても尿路結石は再発しやすい病気なので、食事や生活習慣に気を付けるようにしてください。

鎮痛剤

尿路結石の治療薬には、ロキソニンを始めとした鎮痛成分が含まれている鎮痛剤が処方されます。

鎮痛剤を服用しすぎてしまうと、胃や腎臓に負担がかかってしまうため、空腹での服用は避け、服用後は4時間以上時間を空けるようにしましょう。

市販で尿路結石の治療に役立つ薬はある?

市販で尿路結石に直接役立つ薬は、残念ながらありません。

水分を多く摂取したり、適度な運動や食生活の改善をしたりすると、症状が緩和される可能性がありますが、市販薬では根本的な治療は難しいです。

ただし、尿路結石は激しい痛みを伴うため、鎮痛剤目的として「ロキソニン」や「イブプロフェン」などの服用はおすすめです。

痛みを抑えても尿路結石が改善されるわけではないため、食事や生活の改善・適度な運動を意識して治療を行いましょう。

尿路結石の薬に関する服用時・処方時の注意点

尿路結石の薬に関する服用時の注意点は、以下の2点があげられます。

  1. 服用中の薬がある場合は事前に担当医伝える
  2. ビタミン系・カルシウム系のサプリの服用を避ける

それぞれの注意点について解説しているので、治療薬を服用・処方する際には注意してください。

1、服用中の薬がある場合は事前に担当医伝える

尿路結石の薬を処方して貰う場合は、医師に服用中の薬がある点を事前に伝えましょう。

現在や過去にどのような薬を服用したかがわかるお薬手帳を医師に提出すると、状況を把握してもらいやすいです。

たとえば、結石治療に用いる薬のなかには、血圧を下げる薬が数種類入っている場合があります。

血圧を下げる他の薬や酸化マグネシウムを服用していると、成分が過多になってしまい、身体に異常が現れる可能性があるため、注意しましょう。

事前に服用中の薬を伝えることで、このようなトラブルが発生するリスクを下げることができます。

2、ビタミン系・カルシウム系のサプリの服用を避ける

結石治療薬を服用する際には、ビタミンD系やカルシウム系のサプリメントなどの服用は避けましょう。

ビタミンD系や、カルシウム系のサプリメントを服用すると、カルシウム含有結石を形成してしまう可能性があります。

服用しているサプリメントの成分がわからない場合は、実際に服用しているものを医師や薬剤師に確認してもらうのをおすすめします。

尿路結石は薬だけで完治する?

尿路結石は結石の大きさが8~10mmを超えない場合は、薬を使って完治を目指せます。

結石のサイズが小さい場合は治療薬の服用と食事・生活の改善を行うと、排石できる可能性が高いです。

ただし、尿路結石は再発リスクが80~90%(※)と高いため、治療薬で完治した場合でも食事や生活習慣は意識するようにしましょう。

(※参照:「尿路結石」東京女子医科大学病院

手術が必要となる判断基準

尿路結石の治療に手術が必要だと判断される基準は、結石が8~10mmを超える場合です。

結石のサイズが大きくなるほど自然排石が難しくなり、10mmを超えた場合は手術による摘出が必要になります。

手術は主に3つの方法があるため、泌尿器科医と相談しながら治療方法を決定しましょう。

尿路結石は手術が必要?入院期間や費用について専門医が解説

尿路結石の薬に関するよくある質問

薬で結石が溶けるって聞いたのですが本当ですか?

尿路結石は、基本的に薬で溶かすことはできません。

結石のなかには薬に含まれる成分によって溶ける部分がありますが、レントゲンに映るような結石は解けないため、排石を促す必要があります。

排石促進剤や鎮痛剤などを服用と併せて適度な運動や食事・生活の改善を意識していきましょう。

薬を飲んでも痛いのですがどうしたら良いですか?

薬を服用してもいたい場合は、楽な姿勢を保ちましょう。

尿路結石は出来る位置によって痛みを感じる部位が異なり、尿管であれば刺すような痛みが現れやすいです。

鎮痛剤を服用しても収まらない可能性もあるので、うつ伏せに慣れる場合は痛みがある部分を圧迫するような姿勢になってみてください。

下記は尿路結石の症状について解説している記事になるため、参考にしてみてください。

薬を飲んでから出てくる期間はどのくらいですか?

尿路結石の自然排石までにかかる平均日数は、次のとおりです。

結石のサイズ平均日数
2mm8日
2~4mm12日
4mm以上22日

自然排石までの期間は、結石のサイズによって大きく変動します。

たとえば、結石が2mm程度のサイズであれば1週間程度で自然排石が期待できます

しかし、4mm以上になると20日近くかかるため、時間がかかる治療という点を念頭に置いておきましょう。

まとめ

尿路結石の治療薬は、排石促進剤・鎮痛剤・結石予防薬などを服用します。

さまざまな成分の薬を服用するため、すでに服用中の薬がある場合は、泌尿器科医に相談しましょう。

自然に排石されるまで治療を続ける必要があるので、薬の服用と併せて適度な運動や規則正しい食事・生活を意識することが大切です。

当院 神楽岡泌尿器科では、院長直通無料メール相談も承っております。人には相談しづらいおしっこに関するお悩みや尿路結石に関するご質問など、お気軽にご相談ください。

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