前立腺肥大症の原因は?加齢・生活習慣との関係を泌尿器科医が解説

前立腺肥大症は、前立腺が大きくなり、尿の出にくさや頻尿、残尿感などの排尿症状を引き起こす病気です。なぜ前立腺が肥大するのか、その仕組みは完全には解明されていません。ただし、加齢や性ホルモン環境の変化が深く関わり、遺伝、肥満、生活習慣病などとの関連も指摘されています。

「生活習慣を変えれば治るのか」「マスターベーションの回数が多いと前立腺肥大症になるのか」と不安になる方もいるでしょう。この記事では、前立腺肥大症の原因として分かっている内容と、現時点で関係が明確ではない内容を分けて解説します。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

前立腺肥大症の原因は完全には解明されていない

前立腺肥大症の原因は加齢が主たるもので、それに生活習慣やホルモン環境などの複数の要因が関わり合います。また、中高年以降に生じる性ホルモン環境の変化も、前立腺の肥大に関与すると考えられています。

遺伝的要因、食生活、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などとの関連も指摘されています。ただし、「特定の食べ物を食べたから発症した」といった単純な因果関係を示すものではありません。

参考:前立腺肥大症|名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科学教室

前立腺が大きいだけでは前立腺肥大症とは限らない

加齢とともに前立腺の組織が肥大するのは必発のことです。しかし、前立腺が大きい方すべてに強い排尿症状が出るわけではなく、治療が必要になるとも限りません。

診療では、前立腺の大きさだけでなく、尿の出にくさ、頻尿、夜間頻尿、残尿感などの症状、尿の勢い、残尿量、生活への影響を確認します。

前立腺肥大症の症状が気になる方は、簡単セルフチェックで前立腺肥大症を早期発見も参考にしてください。セルフチェックだけで診断はできないため、症状が続く場合は泌尿器科を受診しましょう。

前立腺肥大症と関係する主な要因

前立腺肥大症との関係が指摘されている主な要因を紹介します。

加齢

前立腺肥大症は年齢とともに増える傾向があります。年齢を重ねること自体を避けることはできませんが、排尿症状を放置せず、変化があれば早めに相談することが重要です。

性ホルモン環境の変化

前立腺の成長には男性ホルモンが関わります。加齢に伴う性ホルモン環境の変化も、前立腺の肥大に関係すると考えられています。

男性ホルモンとの関係は、前立腺肥大と男性ホルモンの関係で詳しく解説しています。

遺伝的要因

前立腺肥大症には、遺伝的な体質が関係する可能性も指摘されています。ただし、家族に前立腺肥大症の方がいるからといって、必ず発症するわけではありません。

肥満や生活習慣病

肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などと前立腺肥大症の関連が報告されています。体重管理、適度な運動、食生活の見直しは、前立腺肥大症だけを直接治す方法ではありませんが、全身の健康管理として大切です。

マスターベーションは前立腺肥大症の原因になる?

マスターベーションや性生活と前立腺肥大症の因果関係は、現時点では明確になっていません。回数が多いことを理由に、前立腺肥大症になると断定することはできません。

神楽岡泌尿器科・渋谷院長の見解

当院の渋谷院長は、多くの患者さんを診療してきた臨床経験から、性生活やマスターベーションの頻度が前立腺の活動と関係し、肥大の一因になる可能性があると考えています。
前立腺は精液の一部をつくる臓器であり、活動する機会が多いほど肥大に影響するのではないか、という見解です。

この内容は、あくまで臨床経験に基づく見解であり、マスターベーションの回数と前立腺肥大症の因果関係が医学的に確立しているという意味ではありません。

回数だけで発症の有無を判断したり、過度に控えたりする必要はなく、排尿症状がある場合は検査結果を踏まえて判断することが大切です。

射精後に一時的な違和感、排尿しにくさ、痛みなどを感じる場合は、前立腺炎など別の病気が関係している可能性もあります。症状が続く場合や、発熱・排尿痛・血尿を伴う場合は、自己判断せず泌尿器科へ相談してください。

生活習慣を変えると前立腺肥大症は治る?

生活習慣の見直しだけで、肥大した前立腺が必ず小さくなるとはいえません。ただし、日常の行動を調整すると、頻尿や夜間頻尿などの症状を軽減できる場合があります。

  • アルコールやカフェインを取りすぎない
  • 便秘を予防する
  • 適度に体を動かす
  • 長時間座り続けない
  • 下半身の冷えを避ける
  • 就寝前に水分を集中して取らない

水分は一律に控えるのではなく、脱水にならないよう調整することが大切です。心臓や腎臓の病気などで水分量について指示を受けている方は、主治医の指示を優先してください。

生活上の注意点は、前立腺肥大症を悪化させないポイント6カ条もご覧ください。

【関連動画】

前立腺肥大症は小さくできるのか?解説と方法まで紹介します

前立腺肥大症と似た症状を示す病気

尿が出にくい、頻尿、残尿感といった症状は、前立腺肥大症だけで起こるものではありません。前立腺がん、前立腺炎、膀胱の病気、尿道狭窄などでも似た症状が出ることがあります。

とくに、急に尿が出なくなった場合や、血尿、発熱、強い痛みがある場合は、直ちに医療機関へ相談・受診してください。前立腺がんは早期に自覚症状がない場合もあるため、年齢や症状に応じてPSA検査などを検討します。

前立腺肥大症の検査については、「前立腺肥大の検査って何をするの?」「前立腺肥大症の検査費用はいくら?」をご確認ください。

気になる排尿症状があれば原因を調べましょう

前立腺肥大症の原因は完全には解明されていませんが、加齢や性ホルモン環境の変化を中心に、遺伝、肥満、生活習慣病など複数の要因が関係すると考えられています。

生活習慣の見直しは健康管理や症状対策に役立つ場合がありますが、前立腺肥大症そのものが治ったかどうかは検査をしなければ判断できません。

尿の出にくさ、頻尿、夜間頻尿、残尿感などが続く方は、院長直通の無料メール相談をご利用ください。症状を確認し、受診が必要かを考えるきっかけとして活用いただけます。

院長直通無料メール相談

まとめ

前立腺肥大症は、加齢や性ホルモン環境の変化が深く関係し、遺伝、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などとの関連も指摘されています。

マスターベーションや性生活との因果関係は医学的に確立していませんが、当院の渋谷院長は、臨床経験から射精の頻度が肥大の一因になる可能性があるとの見解を示しています。一般的な医学情報とは区別して捉えることが大切です。

前立腺の大きさと症状の強さは必ずしも一致しないため、原因を一つに決めつけず、症状や残尿、尿の勢いなどを検査することが大切です。